やる価値あり?!〜CDPを活用しよう
7月に締め切られた、2023CDP 気候変動質問書の回答。
例年、翌年1月か2月にはスコアが公開、併せてウェビナーが実施されます。
回答企業の皆さんは、ドキドキでしょうね。
そうこうしていると、あっという間に、2024年のサイクルに入ります。
noteでもご案内したように、気候変動・水セキュリティ・フォレストの3つの質問書の統合というドラスティックな変化があります。
締切が9月へ後ろ倒しされるとはいえ、例年以上の対策が必要でしょう。
詳細は不明ですが、算定準備は早めに始めるのが吉。
noteでご案内したときは、回答企業へのメールのみの情報でしたが、公式サイト(といってもヘルプセンターであり、非常に分かりにくい場所です)で告知されていました。(追加の情報はありませんが)
2003年に始まったCDP気候変動質問書、サスティナビリティ情報開示が、任意開示から法定開示へと変遷していく過程で重要性が高まっているところ、「そんなに重要なのか」「やらないとダメなのか」「スコアがどれほどの影響力があるのか」などなど、苦情とも取れるような質問を受けることもしばしば。
気持ちは十二分に分かるところ、残念ながら「やっておいた方がよいです」と応えざるを得ません。これは、CDPを利用する側に立ってみると理解できます。
想定されるユーザーは、まず、機関投資家が挙げられるでしょう。
サスティナビリティ・リンク・ボンド/ローン、ESGボンド、環境債など、環境に貢献する投資の規模は世界全体で約100兆ドルに達するとされています。日本では、GX経済移行債を10年間で、官民併せて150兆円発行するとしていますね。
このとき、「貢献する」ことが担保されていないと「ウォッシュだ」とされてしまいます。なので、投資する際には、従来以上の時間とコストをかけて、リサーチを行います。
ただ、「サスティナビリティ情報開示」は緒についたばかり。信用できるデータの入手は極めて困難。とはいえ、コスト増大は機関投資家の利益を削りますし、リターンにも跳ね返ってしまう。
このような現状を鑑みると、2023年は過去最多23,000社が環境情報を開示しているCDPは、救世主のようなものなのです。信頼性に加え、ランク付けされていることにより、容易に他社比較ができるのですから。
雨後のタケノコのように、新規の格付会社や環境インデックスが現れていますが、歴史と数と信頼性において、CDPの右に出るものはいません。
そんなCDPは、現状に満足することなく、デファクトの「情報開示プラットフォーム」の地位を盤石のものとすべく、矢継ぎ早に手を打っています。
まず、IFRS S2に準拠し、TNFDにも整合していることは、ご存知でしょう。
9月には、NZDPUと共同で、高品質で比較可能な世界の気候変動関連データを自由に利用できるようにするための重要な一歩を踏み出したと発表しています。
NZDPU(Net-Zero Data Public Utility)とは、エマニュエル・マクロン仏大統領とマイケル・R・ブルームバーグ国連事務総長特使が立ち上げた「Climate Data Steering Committee(CDSC)」が、オープンで無償の気候変動関連データ一元管理機関として設立した機関。
この戦略的協力関係により、NZDPUはCDPから企業のバリューチェーン排出量と削減目標を提供を受けることになります。ユーザーは、高品質で比較可能なデータへアクセスできるようになるため、より実現性の高い、削減計画立案が可能になるものと考えます。
回答企業数の多さも、積極的にPR。
サスティナビリティ情報開示のデジタル化を世界的に加速させるために、事業報告のコンピューター言語を提供するXBRLとも協業。
また、⾦融庁「ESG 評価・データ提供機関に係る⾏動規範」の趣旨に賛同し、その受け入れを表明しています。簡単に言うと、ウォッシュの誹りを受けないような、データ収集・評価方法を構築します、ということです。
ということで、繰り返しになりますが「CDPは真剣に取り組みましょう」
「ヒト・モノ・カネ・時間」かかりますが、やる価値はあります。
サスティナビリティ情報開示は「プロフィットセンター」ですから。
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