見出し画像

シンCDP始動?!プラットフォームの矜恃

CDPについては何度もご案内しており、つい先日も「デフォルトの情報開示プラットフォームとしての地位が危うくなったのか」といったテーマで採り上げました。

この中で、次のようにお伝えしていました。

必ずしも安くは無い費用を払っているのですから、それに見合うようなベネフィットがないと、継続する意味がありませんよね。

このように、若干ネガティブウォッチし始めたところに、CDPから直メールが届きました。当方はパートナー企業と協業していることから入手しましたが、回答企業の皆様の元にも届いているのではないでしょうか。

2024年、CDPは新たなテクノロジー・プラットフォーム上で新たな開示フレームワークを立ち上げ、CDPを通じた組織の開示方法と気候アクションの推進を大幅に改善することを目指しています。

変化し続けなければCDPの存在意義が失われることは、十分認識していますということでしょう。改善・改革の方向性は「回答企業の期待に添うこと」「使い続けてもらうこと」であり、上述した私の指摘の回答と言ってよいものでした。

質問書を、より効率的で、ユーザーフレンドリーで、複雑さを軽減するように変更します。新しい情報開示のフレームワークは、グローバル経済が情報開示義務化の新時代に突入する中、今後の需要により容易に対応できるように設計しています。

ユーザーエクスペリエンスを向上させる直感的なインターフェイスを備えた、最新の目的に合った拡張性のあるテクノロジープラットフォームを構築中です。

具体的な内容は、次の通りです。

何と言っても、3つに分かれていた質問書の再構築。
重複内容を減らして、一つの統合質問書にするというもの。


開示のフレームワーク

・気候変動、フォレスト、水セキュリティで重複している内容を減らし、一つの質問書に統合
・質問書の複雑さを軽減し、開示にかかる時間を短縮できるよう、質問書を再構築
・IFRS S2と整合させ、各国で進む情報開示の義務化に先んじて対応、各国の規制で求められる以上のメリットを提供
・中小企業向けの質問書導入

歴史の長い気候変動は約18,700社が回答しているのに対して、後発の水セキュリティ及びフォレストは、圧倒的に数が少ない。

気候変動以外は他で調べなければならないというのであれば、必要な情報を「ワンストップ」で提供する「デファクトプラットフォーム」とは言えないですよね。

CDP2023水セキュリティウェビナーより

ただ、それによって負荷が増えるのであれば、気候変動のみ回答していた多くの企業から大クレーム。なので、「質問書の再構築」はマストでした。

「各国の規制で求められる以上のメリットを提供するので、是非とも、ご協力をお願いします」ということです。


「質問書の再構築」は、主に、回答作業のストリームライン化のようです。
この中で一番嬉しいのは、「安定性向上」ではないでしょうか。

情報開示のテクノロジー

・合理化されたエンド・ツー・エンド・ジャーニーの導入により、回答作業と、データや回答内容へのアクセス容易化
・安定性を向上させるとともに、回答担当者が社内で共同して作業しやすくするようにし、セルフサービス機能を強化
・開示要請者が要請先の回答進捗状況をよりよく追跡できるようにするための、新しい管理機能を導入

夏休みの宿題よろしく、提出が締切直前となる企業が多数にのぼる中、ORSの不安定さについては、皆さん遭遇されたこともあるかと思います。今年こそ早めにアップロードしようと思っても結局….アルアルですよね。

また、回答の原案の作成は各担当者へ割り振っていながらも、ORSへの入力は主担当が一括で行っている企業も多いでしょう。

これについても、どのように、共同作業できるようになっているのか。期待して待っていましょう。

このような大改革を行いますから、回答スケジュールも変更されます。

・2024質問書の回答提出期間は、2024年6月初旬から9月
・新しいプラットフォームへのアクセスは2024年4月から可能
・2024質問書の回答に対するスコアは2024年末までに発表予定

24年については、提出期限は7月末ではなく9月末と、2ヵ月後ろ倒し。
とはいえ、「再構築」するということは、質問内容が大幅に変更すること。余裕は逆に狭まっていると考えて、身構えておきましょう。

内容はともかく、このような大幅な変更がある旨を、関係各所へ早めにアナウンスしておき、心構えをしておいてもらいましょう。

なお、質問内容は統合されますが、気候変動、フォレスト、水セキュリティ、それぞれ3つのスコアが付与されるそうです。これまでAスコアだった企業が、新スコアではどうなるのか。担当者としては、戦々恐々でしょうね。

ということで、CDPが世界中で進む情報開示変革の中、足場固めに入ったのではないか、というお話でした。

新しい情報が入り次第、お届けしますね。


もしよろしければ、是非ともサポートをお願いします! 頂いたサポートは、継続的に皆さんに情報をお届けする活動費に使わせて頂きます。