見出し画像

河川の問題は寡占とは真逆の構造

仕事柄、データチェックは毎朝のルーティン。
電気新聞・日経産業・日経Mの記事チェックは外せません。
加えて、半分趣味で「ウェブデータサーフィン」をしてるのですが、
お気に入りのサイト「Qur Would in Data」で興味深い視点の記事を発見。
GWということで、軽くお付き合い下さい。

GHG削減と同じように削減が叫ばれているプラスチック、それも、生態系に及ぼす影響が懸念されている、海洋プラスチックの話です。

海域へのプラスチック流出量については、3つの要因があります。

1.プラスチック生産量
先進国が0.2~0.5kg/(日・人)、インドが0.01、フィリピンが0.07とのことですので約10倍。人口をかけても先進国の方が多いようで、英国はフィリピンの2倍に達するとか。やはり、まずは「リデュース」が基本ですね

2.廃プラスチックの管理体制
想像がつくと思いますが、途上国は回収システムが構築されていないことが多く、フィリピンにおける管理されていないプラスチックの1人当たりの量は英国の100倍!人口を掛け合わせると.…

管理されていない廃プラ量のシェア

3.管理されていないプラスチックが河川流域や海域へ達する確率
パラオやシンガポール、ソロモン諸島、フィリピンなど、島嶼部が多くなっています。陸地面積が狭く、必然的に河川との距離が近くなることから、想定の範囲内かと思います。

ただ、日本も島国なので3.58%!英国も3.02%ですので、このような値に落ち着くのでしょう。他方、リサイクル体制が整っていますので(要因 2)、世界全体に占める管理されていないプラスチック量は、0.06%。つまり、適切に処理されていれば、確立が高くてもマネジメントできるということですね。

管理されていないプラスチックが海域へ達する確率

1、2、3によって決まる、海域へ達する廃プラ量のシェアがこちら。

海域へ達する廃プラ量のシェア

今日のnoteでお伝えしたいのは、流出に寄与している河川の話です。

例えば、ビジネスにおける世界的シェアというと、上位10社で全体の半分以上、のように寡占状態になっていることを想像しがちですが、こと、海洋プラスチック量に対する河川の寄与度を考える時は、真逆だということ。

海洋プラスチック量に対する河川の寄与度

最近の研究では、寄与度トップ10の河川を合計しても全体の約2割。
2017年の研究では9割、56%などとされていましたから、考え方を根本的に変えた対策が必要になると「Our World in Data」は指摘しています。

ちなみに、どんな河川が「寄与」しているのかはこちら。
圧倒的にフィリピン。島嶼部で人口も多く、大小さまざまな河川が存在し、日々の暮らしとの関わりも大きい。十分納得できます。

海洋プラスチック量に対する河川の寄与度(河川別)

これらを踏まえると、やるべきことは、「大きいところからつぶしていく」のではなく、生活に密接した身近な河川に対して、地道にアクションを起こしていくということでしょうか。

逆に、自分たちの日々の心掛けで、バタフライ効果のように、改善が進んでいく可能性もあると考えれば、やる気が出てくるような気がします。

やってることが、無駄にならないわけですからね。

ただ、環境コンサルをやっている中でつくづく思うのは
「環境問題」の前に「貧困問題」
「環境」は「教育」から

環境問題を自分事として捉え、自律的に行動できる人たちが増えることを期待して、本業を愚直に実施していきたいと思います。


もしよろしければ、是非ともサポートをお願いします! 頂いたサポートは、継続的に皆さんに情報をお届けする活動費に使わせて頂きます。