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CORSIA適格クレジットへの道

以前、J-クレジットとJCMがCORSIA適格クレジット(CORSIA Eligible Emissions Units)申請をしたことをお伝えしました。

CORSIAというのは、Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation(国際民間航空のためのカーボン・オフセット及び削減スキーム)の略で、ICAO(International Civil Aviation Organization:国際民間航空機関)が実施する、排出枠取引制度です。

国際航空は国際海運と同様、それぞれ世界全体の排出量の約2%を占めながら、いずれの締約国も「自国の排出量」に算定したくなかったし、当該セクターとしては、各国バラバラに規制されたくなかったので、「自分たちで頑張ります」ということだったと理解しています。

なので国際航空における「頑張ります」と打ち出したのが、「グローバル削減目標」とそれを達成するための「4つの対策(Basket of measures)です。

グローバル削減⽬標
1.2050 年まで年平均 2%の燃費効率改善
2.2020年以降、温室効果ガスの排出を増加させないこと
(2020年以降国際航空部⾨からの排出量を同年の排出レベルにとどめ炭素中⽴な成⻑を⽬指す(2020年以降のカーボンニュートラルな成⻑))

4つの対策(Basket of measures)
1.新技術の導⼊(新型機材等)
2.運航⽅式の改善
3.代替燃料の活⽤に向けた取組
4.経済的⼿法の検討推進

1〜3の対策ではグローバル削減目標、特に「2020年以降のカーボンニュートラルな成⻑」は難しい」ということで、その「補完的な」対策として、市場メカニズムを活⽤した温室効果ガス削減制度を導入するとしており、それが「CORSIA」というわけです。

具体的には、このような記述となっています。

国際線を有する航空会社は、その運航によって発⽣するCO2排出量を算出・提出する。そして、その排出量が2019・20年の基準を上回っている場合、その超過分に相当する排出枠を購⼊しなければならない。

現在は、参加についてはボランタリーなのですが、2023年1月現在115カ国が表明しており、事実上、国際線を有している航空会社は例外なく参加することになるでしょう。(ちなみに、中国は表明していません)

このCORSIAにおいて使用できるクレジットが「ORSIA適格クレジット」であり、22年11月時点では、以下の9つとなっています。

1.American Carbon Registry (ACR)
2.Architecture for REDD+ Transactions (ART)
3.China GHG Voluntary Emission Reduction Program
4.Clean Development Mechanism (CDM)
5.Climate Action Reserve (CAR)
6.Forest Carbon Partnership Facility (FCPF)
7.Global Carbon Council (GCC)
8.The Gold Standard (GS)
9.Verified Carbon Standard (VCS)

21年3月では8つでしたが、「Forest Carbon Partnership Facility (FCPF)」が加わりました。

冒頭にお話ししましたように、JCM(モンゴルとの案件)とJ-クレジットが共に申請していましたが、残念ながらこのリストに加わっておりません。

昨年11月にTABがCORSIA審議会に報告した内容によると、JCMは条件付きで認められたところ、J-クレジットは再提出となったようです。(条件付きなので、適格ユニットとしてのリストには載らない)

ただ、ご案内のように、これから国内においても活用が始まりますし、CORSIAを通じて国内外のエアラインからの需要が高まると思うので、マーケットを拡げる意味でも、かつ、

ハードルは高いのでですが、CORSIA適格ユニットという「お墨付き」を得ることで「高品質なクレジット」と認められます。国内外へもマーケットが広がります。

再提出の期限は2023年3月24日までとなっています。
是非とも再チャレンジして欲しいですね。

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