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検証の実際〜その3
前回のnoteで「最初に言っておきたいことが、2点あります」
として、以下を挙げておりました。
1.担当者への周知徹底
2.エビデンスの準備
1は説明しましたので、今回は「2.エビデンスの準備」について、現役の検証人として、アドバイスさせて頂きたいと思います。
「エビデンス」「証憑類」と言われると、難しく捉える方もいらっしゃるかもしれません。こんな言葉を使うが故に、とっつきにくいイメージを持たれることもあったりしますね。
簡単に言うと、計画書や算定結果に使用されている数字や文言を、証明してくれるものです。
なので、数字であれば、請求書や領収書、出荷伝票、日報などなど。
文言であれば、約款や契約書、法の届出書などなどですね。
実際は、サイトレビューの前に、検証機関側で検証計画を立てて、デスクレビューを行いますが、そのために、可能であればそれらの「エビデンス」を電子データで頂くことが一般的です。
これにはちょっと説明が必要です。
ISO14064-3 GHGの検証方法では、高い水準の保証、合理的保証が要求されています。これは、クレジットの売買、つまり、経済取引に関わる、金銭のやり取りに関わるからです。
保証の対象が経済取引の基礎となる場合は、通常、相対的に高い水準の保証が要求され、 EU 排出量取引制度でも合理的保証が要求されている。
排出量取引制度において経済的に取引される排出枠発行量の基礎となる排出量は、適切 に算定されなければならない。低い水準での保証(限定的保証:limited assurance)では、 経済取引の基礎とするには不十分である。
「合理的保証」と「限定的保証」というのは難しいのですが、SHIFT事業 検証ガイドラインには、このような説明があります。
保証水準は、主に財務諸表監査の領域で用いられる概念であり、排出量取引の諸制度およ び ISO14064-3:2019 でも採用されている。合理的保証業務では、積極的形式による意見表 明を行う基礎として合理的な低い水準に保証業務リスクを抑えるように手続が実施される。 合理的保証業務の意見は、「××はなかった。」といった消極的形式ではなく、「××である。」 等の積極的形式で表明される。
わかりやすく言うと、こういうことです。
可能な限りエビデンスを入手して、事業者が気づいていない事柄まで推測して調査し、算定結果の正しさを保証しなさい
まぁ、言われていないことまで、検証機関側で突っ込んで調査しなさい、と言うことです。意図せずして、報告していないこともあるかもしれないでしょ?と。(意図的に隠しているのは論外ですが)
なので、「可能な限り」予めエビデンスを提出してもらって、その可能性をピックアップ、サイトレビューで確認しようとするんですね。
性善説と性悪説の中間くらいのイメージでしょうか。
ですから、サイトレビューの前に、見せて頂きたい帳票類をリストアップした計画書をお渡しすると思います。しかしながら、各社各様ですので、色々な形の帳票類があるでしょう。あるいは、検証を進める中で、必要になるものもあるでしょう。
その有り無しは、さきのnoteでご案内した、担当者へ有り無しの確認をするだけでかなりの程度対応できます。ですが、その時に、実物を見せてもらえれば、さらに手間無し。
ということで、「可能な限り提示できる形でエビデンスを準備しておこう」
というお話でした。
次回は、算定の細かい話をしたいと思います。
お楽しみに。
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