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J-クレジット動向アップデート

22年9月からは、JPXにおいて、試行的な取引が始まりました。
実証期間は、2023年1月までで、売買の対象は「J-クレジット」及び「GXリーグにおける企業由来の超過削減枠」ですが、実際に取引できるのは「J-クレジット」のみ。午前と午後に1回ずつ、約定を成立させます。

また、COP27を経て、NDCに利用できるクレジットの扱いが明確になったり、来年以降、高品質なクレジットの創生および利用、主張に当たっての統一的なルールが順次公開されることも予想されるところ。

第28回運営委員会資料より

取引は活況とは言えないまでも、「売買時の単価の目安を明らかにする」という目的は、ある程度果たしつつあるようには見えますね。

第28回運営委員会資料より

ということで、このような追い風を受けて、活用の場面が拡がると予想される「J-クレジット」の動向が気になるところ。

先週12月9日、第28回運営委員会がありましたので、その資料から、最近の動向について簡単にご紹介したいと思います。


目玉は、水素およびアンモニアの利用によるクレジットの創出を規定する、方法論が事務局より提案されたことでしょう。

新規方法論EN-S-043「水素・アンモニアの燃料利用(非再エネ由来) 」
新規方法論EN-R-010「水素・アンモニアの燃料利用(再エネ由来)」

「重油→天然ガス」のような燃料転換によるクレジット創出と同じイメージですが、水素およびアンモニアが電力と同じように2次エネルギーである点に留意する必要があります。

ということで、事務局から、1次エネルギーが何であるかによって、次のように整理案が示されました。

・再エネ電力やバイオマス改質で製造された場合→再エネクレジット
・上記以外のエネルギーから製造された場合→省エネクレジット

グリーン水素/グリーンアンモニア→再エネくじレット
ブルー水素/ブルーアンモニア→省エネクレジット
ということですね。

イエロー/パープル→原子力由来、ブラウン→石炭(褐炭)などなど様々な表現がされていますが、つまり、グリーン以外は「省エネクレジット」というわけです。

第28回運営委員会資料より
第28回運営委員会資料より
第28回運営委員会資料より

皆さんご案内のように、「再エネ」か「省エネ」かは大きな違いです。
「再エネ」はRE100のようなイニシアチブに使用できるのに対し、「省エネ」は使用できませんから。

第28回運営委員会資料より

このように、2022年6月1日時点では、再エネクレジットは3,278円/tCO2であるところ、省エネクレジットは1,607円/tCO2と、ほぼ倍となっています。

実際の取引量や、入札価格などの状況については、こちらを参照下さい。

なお、これら新方法論については、対象とする水素・アンモニアをどうするか、環境価値の順環境認証をどのように排除するか、再エネ量をどう評価するか、などなどの論点が示されています。

その他、J-クレジット以外にも、GX-ETSや、カーボンフットプリントなど、CO2の算定や環境価値の取引に関する議論が目白押し。

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