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クレジット活用の強い味方(1)

2年前、NCSAが、6つの森林吸収プロジェクトを「Lighthouses」に指定したことをご紹介しました。NCSA(Natural Climate Solutions Alliance)は、自然気候ソリューションと炭素市場への投資の機会と障壁を特定することを目的とした、マルチステークホルダーグループです。

Lighthousesは、「灯台」という名前が示すとおり、指定されたプロジェクトは、NCSAの厳格な基準に合致しており、実施地域の自然資源、生活環境の保全・改善に寄与すること、及び、将来クレジットが創生される可能性が極めて高いことを約束するもの、としています。

クレジットの信頼性は、それぞれのレジストリがクライテリアを満足しているかを審査し、登録することで担保されるのが一般的です。

しかしながら、今般のウォッシュ批判を見るまでもなく、これだけでは不十分という認識が当時でも拡がりつつあり、そこに現れたのが「プロジェクト実施者でもスキームオーナーでもない、第三者による審査システムでした。

6つは全て、VCS認証及びCCBS認証を受けていたのですが、さらに「Lighthouses」というお墨付きを得たという訳です。

格付会社と似てなくもないですが、こちらは、セレクトショップみたいなイメージでしょうか。「NCSAが認めているから大丈夫だろう」みたいな。

とはいえ、それでもまだ不安は残ります。
目に見えないGHGが対象なだけに、当然ですよね。

そんな「クレジット」に、救世主が現れたというnoteを書いています。

一般的な商品であれば「保険」という商品があります。
クレジット専門の「保険会社」が現れているのです。
その一つが、「Kita」です。

プロジェクト実施期間中、まだクレジットが発行されていない段階(Pre-issuance)の損害を、次の4種類の保険でカバーします。

1.Carbon Purchase Protection Cover
2.Abandonment and Insolvency Cover
3.Buffer Depletion Protection
4.Carbon Political Risk

1.は、プロジェクトが不調に終わり、想定量のクレジットが得られない場合、2.はプロジェクトオーナーが放棄したり、支払不能に陥ってクレジットを引き渡せなくなる場合、3.は例えば山火事でバッファーを超える森林消失があった場合、4.は政治リスクをカバーする保険です。

ただ、これだけではクレジット発行後(Post Issuance)の保証が薄いように思われます。そこに注力している(ように思える)のが「Oka」です。

次の2種類の品揃えで「Post-Issurance」保証します。

1.Carbon Protect
2.Corresponding Adjustment Protect

1.は、無効化や取り消しなど、発行後の予見不可能かつ不可避なリスクが発生した場合に金銭的な補償を提供するものです。住宅を購入した後、瑕疵があった場合に保証を受けることができる保険のイメージでしょうか。

Oka ウェブサイトより

2.は「CORSIA」対応の保険です。

CORSIAは「(Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation)」の略称です。これは、国際民間航空機関(ICAO)が主導する国際的な取り組みで、エアラインに対し、一定基準を超える排出量をオフセットすることを求めています。

このCORSIAで使用できるクレジットは、フェーズ毎に申請して認証を受ける必要がありますが(Eligible Emissions Units)、それに加えて、ホスト国による「相当調整(Corresponding Adjustment :CA )」がなされている必要があります。

しかしながら、CAが行われない場合も発生するのです。CORSIAは2027年から義務化されるので、当てにしていたクレジットが使用できないとなると、履行義務違反となってしまいます。

それを金銭的に保証するのが、「Corresponding Adjustment Protect」です。

Oka Corresponding Adjustment Protect ウェブサイトより

ここまでは、クレジットが一般的な商品と認められる過程で、必然的に発生するサービスだと思いますが、さらに、高度な商品が生まれました。

次回は、この例に加え、日本発の新サービスについてお届けします。
お楽しみに。

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