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EUにおけるサスティナビリティ情報開示の動き

世界的に、「情報開示」周りの動きは活発になっています。
・気候変動
・サスティナビリティ
・自然資本
・人的資本

有価証券報告書に記載する「財務情報」と異なり、今まで「社会的責任」や「地球市民」のような、ボランタリーな、法的拘束力の無い概念に基づき、企業の善意に支えられて開示されてきた「非財務情報」。

統一化されたルール、基準が無かったことから、各社各様の形で公開され、比較されることはありませんでした。そもそも、比較されたところで、それが顧客の購買行動に変容をもたらすことが無かったことから、売上や、株価にも影響を及ぼすことが無かったからです。(あくまでも個人的見解です)

それが、特に、スーパー台風や集中豪雨、熱波などの数百年に一度の「極端現象」が多発して甚大な被害が発生するなど、気候変動によるものと考えられる「結果」を目の当たりにするにつけ、「それによる財務への影響の程度」を開示する要求が高まりました。

2018年10月に公表された、IPCCの1.5℃特別報告書で影響が報告され、2021年8月の第6次報告書第1作業部会の報告 「気候変動 - 自然科学的根拠」で、「人為的影響が決定的」とされたこともあり、一気に脚光を浴びた形。

これを受けて、TCFDが改訂され、「準拠」を公言しているCDP質問書が改訂されるなど、「気候変動情報開示」の基準作りが先行しました。

これについては、基準の乱立や理解が難しいこと、開示のデファクト化の綱引きが見られることなど、何回か紹介してきました。

「綱引き」においては、欧州-米国-日本・UKにみられるように、それぞれが支持する開示基準をPRし、メリットを謳い合っているように感じています。

まぁ、そうは言いながらも、各陣営一枚岩ではない様子。

米国では、大手CEOグループのビジネス。ラウンドテーブルが「米国証券取引委員会(SEC)が提案した、企業が直面する気候変動リスクと温室効果ガス(GHG)排出量の開示を義務付ける規則は「実行不可能」であり、コストがかかり過ぎると」指摘しているとか。

ちなみに、「ビジネス・ラウンドテーブル」とは、ゼネラルモーターズのメアリー・バーラCEOが会長を務め、Apple、JPMorgan Chase、Citi、United Airlines、Walmart(ウォルマート)など主要25社のCEOで理事会が構成されています。

ここに、少し交通整理に入っているのが、GRI(Grobal Reporting Initiative)。

個人的には、TCFD(ISSB) の取り組みを評価する側にいたように感じていますが、21年7月にEFRAGと協定を交わしており、情報共有や基準設定活動を行ってきたとのこと。

ですので、4月に公開されたESRSの草案においても、現在GRI Standardsに基づいて報告を行っている多くのEU企業も、容易に適合できるらしいです。

加えて、ISSBとも継続して協力していくとし、「EUとグローバルレベルの両方で、企業の説明責任を促進するために必要な、進歩的で整合性のある報告を達成できると確信している。」としています。

なお、CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive:企業持続可能性報告指令)は、現行の非財務報告し例を拡張して置き換える、サスティナビリティ開示に関する法律を導入済みです。

ということで、まぁ、東証のコーポレートガバナンスコードもTCFDですし、日本を拠点にしている限りは、現状のままで、粛々と情報開示を進めていけばいいようです。

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