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COP27前のクレジット動向を確認(2)

COP27が始まって、メディアでもひととおりの報道が始まりました。

今回は、適応(Adaptation 7条)及び損失と損害(Lost & Damage 8条:通称ロスダメ)が主な論点であり、だからこそ、その議論の進め方に当たって、資金の出し手と受け手の間で意見の食い違いがあり、会議のスタートが遅れるといった、毎度おなじみの光景も見られました。

ですが、私の論点は「カーボン・クレジット」ですので、6条が本丸です。
何を決定すべきかについては、UNFCCCが10月25日に発表した、非公式文書(決定用素案)に記載があります。

6条2項https://unfccc.int/sites/default/files/resource/Article%206.2_SBSTA_INFORMAL%20document.pdf

6条4項
https://unfccc.int/sites/default/files/resource/Art.6.4_SBSTA_Chair_Info_note.pdf

とはいえ、英語でかつ長文なので、とても読んでられません。
なので、リストアップしてみました。

6条2項
・6条2項クレジットの報告方法(様式及び表)
・6条2項クレジットの管理システムの仕様
・審査ガイドライン
・LDC及び島嶼国に対する特別配慮
・相当調整方法の更なるガイダンス
・排出回避をITMOsに含めるか否か

6条4項
・CDM→パリ協定の移管手続き
・6条4項クレジットの報告
・6条4項クレジットの管理システムの仕様
・費用関連の手続きについて
・世界全体の排出量削減の手続きについて
・監督機関とホスト国の役割
・排出回避及び保全強化活動を対象とするか否か

なお、優先順位により、来年に移行へ持ち越しとなるものもありそうです。
COP26において、具体的な内容はCOP27にて議論することは決定しているので、少なくとも、クレジットの報告方法と審査方法は決まるはずです。

ボランタリークレジットを扱う側からすると、「相当調整」及び「排出回避」について、決定には至らずとも、ガイダンス・考え方は示して欲しいところ。この定義が明確にならないと、創る側と使う側が疑心暗鬼となり、活用が進まないと考えるからです。

なお、言葉の説明は、回を改めて行いたいと思います。
重要な概念なので、さらっと説明するのは、苦しいです(汗)


「6条2項と6条4項は何を規定しているか」については説明しておかないと進まないので、何とか「さらっと」説明しておきます。

6条2項
国際的に移転したクレジット(JCMやCDMによって創出されたクレジットなど)を各国の排出削減目標(NDC) の達成に使用するための枠組み

6条4項
京都議定書におけるクリーン開発メカニズム(CDM) の後継版となる、新たな国連管理下のクレジット制度

それぞれの交渉におけるポイントは、上記の非公式文書を元に整理すると、このような感じでしょうか。

6条2項
1.報告方法
2.審査方法
3.クレジット管理システムの仕様

6条4項
1.CDM移管手続き
2.手続き費用及びクレジット収益から適応への支援に回す費用の詳細

また、6条全体に亘っては、「参加国の実施体制の強化」及び「体制強化のための能力開発支援(キャパビル)」が重要なポイントになるかと思います。

キャパビルについては、日本ではIGESが継続的に実施していますし、先進国及び国際機関も準備しているようです。恐らく、COP開催期間中に続々と発表されるのではないでしょうか。


このご時世、サイドイベントはリアルとバーチャルのハイブリッドだろうと踏んでいましたが、意外とリアル(in person)が多く、ちょっと残念。

なので、プレナリーをライブで視聴しつつ、極力少ないながらもバーチャルイベントに参加し、後は、SNS、環境NGOや各国政府及び大本営の発表をチェックして、自分なりの理解をしていきたいと思います。

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