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やるなぁ、CDP

シャルム・アル・シェイクでのCOP27期間中は、様々な発表があり、すっかり見落としていましたが、CDPも重要なリリースをしておりました。

23年から、CDPは、ISSB気候関連開示基準をそのグローバルな環境情報開示プラットフォームに統合するという内容。

つまり、CDPが130兆ドル以上の資産を持つ680の金融機関に代わって毎年企業に発行している既存のアンケート調査に、ISSBのIFRS S1、S2の内容が組み込まれる、ということです。

気候変動情報開示プラットフォームを自負しているCDPですから、当然の動きではありますが。

ちなみに、来年のCDP質問書については、五月雨的にお伝えしてきました。

ただ、今回の発表は、気合いが入っています。
COP期間中の発表だったということもその表れですね。

2022年には、世界の時価総額の半分に相当する18,700社がCDPを通じて環境情報を開示することになるそうですから、この統合により、ISSBの開示基準にしたがった情報開示が加速することになります。

CDPがISSBの要求事項を満足する開示をしてくれる訳ですから、回答企業は、開示負担がさらに軽くなりますね。昨年はTCFD対応でしたが、CDPが情報開示において、孤高の存在になっていきそうです。

今回の発表は、CDPとISSBの共同発表という形で行われました。
ですので、それぞれが、コメントを寄せています。

CDPは、唯一のグローバルな環境情報開示プラットフォームとして、2022年に世界の時価総額の半分に相当する18,700社以上の企業が情報開示を行う予定であり、ISSBの気候変動基準をグローバル経済全体に早期に普及させる上で独自の立場にあります。これは、企業の行動と説明責任を強化し、金融市場、政府、規制当局に、意思決定に役立つ明確で比較可能なデータを提供する上で、非常に重要なことです。

CDP創設者 ポール・ディキンソン

ISSBは、世界の資本市場に効果的で効率的な情報開示のエコシステムを提供し、意思決定に有用な気候関連情報の開示を実現することに尽力しています。CDPのプラットフォームをISSBの気候関連基準に合わせることで、企業の負担を軽減し、開示のための共通言語に一歩近づくことができるのです。強固な開示に対する要望が相変わらず強い中、2024年の開示サイクルから、18,000社の作成者がIFRS S2に準拠したデータを自主的に開示することになったことを嬉しく思っています。

このデータを収集することで、CDPは投資家やその他のステークホルダーに、地域間で一貫性があり、包括的で、比較可能な企業の環境情報へのアクセスを提供することになります。また、企業の報告負担を軽減することができます。一方、CDPはIFRS財団に対し、気候変動基準の導入と実施を監視し、その継続的改善を追求するために、気候変動基準に照らして行われた開示のデータへのアクセスを提供します。

ISSB議長 エマニュエル・フェイバー

IPCCが示したように、気候リスクの開示が企業や金融機関のレジリエンスの構築と適応をさらに支援するだけでなく、野心と行動をさらに高めることになるでしょう。情報開示は行動の基盤であり、測定しないものは管理できない。私たちはグローバルな世界に生きており、私たちが直面するリスク、利用可能な解決策、進捗状況、遅れをとっているものなどについてのグローバルな理解が必要です。CDPは、この待望のグローバルスタンダードの実施を推進するために力を注ぐことができることを嬉しく思います。

私たちのグローバルな目標を真に達成するためには、気候関連の財務リスクに焦点を当てたこの開示が、投資家にとって重要なものを超えて、企業が人や地球に与えるすべての影響をカバーする開示と対になっていることが極めて重要です。CDPは、投資家に焦点を当てたこの新しい基準で要求される情報とともに、この情報を開示する企業を引き続き支援していく予定です。これは、EUや米国をはじめ、世界中で開発されているような、質の高いグローバルレベルや国・地域レベルの基準をすべて取り入れるという私たちの戦略を実現するための重要な一歩です。

CDPチーフ・インパクト・オフィサー ニコレッテ・バートレット

先のnoteでは、IFRSが情報開示ルールについて、更なる統合化を目指して動き始めたことをお伝えしました。

製品やサービスなどは、それらの地域属性に即した形にカスタムメイドしてリリースしてこそ、受け入れてもらえます。他方、気候変動、持続可能性といったグローバルな問題に対する取り組み方については、統一されたルールによる開示でなければ、その企業、事業の善し悪しを判断できません。

「気候変動枠組条約」のような「国際交渉」の場面では、国益のぶつかり合いがあって当然であり、それ自体は、否定しません。

ですが、私達の判断基準となる情報を開示する、ボランタリーな枠組については、合目的的に考えてもらい、統一ルールを実現して欲しいものです。

こらからの、CDP、IFRSに、期待したいですね。

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