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不都合な真実?

「科学に基づいた的確なコメントをされる」と個人的に信頼している国立環境研究所の江守さん曰く、

IPCCの報告書では、「20世紀後半以降の温暖化の主な原因は人間活動である可能性が…」という表現が2001年に公表された第3次評価報告書から出てきました。そのときは可能性が「高い、66%以上」でしたが、第4次評価報告書では「非常に高い、90%以上」となり、前回の第5次評価報告書(AR5)では「極めて高い、95%以上」と書かれてきました。AR6/WG1では、「人間の影響が気候システムを温暖化させてきたのは疑う余地がない」となり、初めて不確実性の表現が外れました。

地球環境研究センターニュース 2021年11月号 Vol. 32 No. 8

一時期は「地球温暖化懐疑論」もよく聞かれましたが、このところはすっかりなりを潜めたように思います。やはり、このところ毎年発生する「極端化現象」を目の当たりすると、人の存在が地球に何かしらの負荷を与え続けていることは明らかだと認めざるをえませんよね。

環境コンサルとしては、再エネ導入拡大には賛成の立場ではありますが、同時に、電気管理が本業ですので、電力の安定供給も同じくらいに重要であるという認識です。いわゆる「3E+S」ですね。

ですので、風任せ、太陽任せでない、電源として国が推進する「アンモニア混焼/専焼」は再エネを補完するものと捉えておりました。まぁ、製造する際のエネルギーに左右されるとは思いながら。

ですが、先日、Climate Integrateの平田仁子さん(元 気候ネットワーク)からアンモニア発電の「真実」を伺ったときは衝撃でした。

その内容は、全てこちらのレポートで明らかにされています。

難しい話は抜きにして、この比較グラフを見て下さい。

電源毎の排出係数

排出係数の比較ですが、混焼で最先端の石炭火力レベル、専焼でもLNGに遠く及ばないじゃないですか。これを見ただけで、RE100を目指す企業からは「三下り半」を下されます。

さらに、こちらのデータもインパクトがあります。

発電におけるアンモニア混焼コスト

「再エネは金がかかる」は分かりきっていますが、それは「カーボンフリー」だからこそ許容されるもの。排出係数が石炭と同レベルの電源に、そんな「環境価値が無い」電源に、誰がそんな費用を負担するのでしょうか。

このような「無価値」なのに「高い」電源の導入を国策で進めようとしているのは何故でしょうか。そこには、私達の税金が投入されます。それでいて、これから何十年も、高い電力の購入を強いられることになります。

排出削減を行おうとした場合、一番手っ取り早いのが、カーボンフリーの電力を購入することです。非化石証書やグリーン電力証書を購入することもできますが、はっきり言って手間です。単価は若干高くなりますが、「買電先を変更しましょう」とご案内します。

これからは、単価よりも排出量が選択の基準になるでしょう。車の選択では、もうそのような動きになっていますよね。

買い手がいなければ、売り手はそのような商品(=電力)を作りません。売れないのであれば、いくら補助金を積まれても「NO」でしょう。そうなれば、無駄に税金を投入することはできなくなります。私達の行動がだけが、「無謀な国策」を止めることができるのです。

国の補助事業は、大きく始めて失敗するのが、セオリー。
実施した後のレビューがなされないので、同じ過ちを繰り返してきました。

真のグリーンコンシューマーとして、その役割を果たしていきたいですね。


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