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算定と検証の実際

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躓きやすい算定ルールや検証の現場の話を紹介します。
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#排出量算定

スコープ1・2と温対法報告の違い

温対法の報告は7月末まで。CDPの回答は7月27日まで。 担当部署の方は、集計・算定真っ盛りではないでしょうか。 いずれもWEB上で提出できますから、以前よりは楽になったとは言え、CDPは今年からという方も多いでしょうから、大変なことには変わりないかも。 さて、実務を行っていると、次々に現れる「???」 実際、私の所にも矢継ぎ早に問い合わせメールが届きます。 すぐに回答できるものもありますが、後日ということも普通にあります。 ファクトを抑えておかないと、自信持ってお応えでき

排出量算定〜スコープ3 カテゴリー2

カテゴリー2は「資本財」 つまり、財務会計上「固定資産」として扱われているものです。 ですので概念としては分かりやすいのですが、いざ算定しようとすると分かりにくいのが、このカテゴリーの特徴ではないでしょうか。 算定に着手したばかりの企業であれば、このカテゴリーは、最初は「ざっくり」かなり「ざっくり」捉える程度でよいと思います。 ・カテゴリー1と重複するところがあるため仕訳に悩む ・複数の事業者が関与する場合が多い(建築物や製造ラインなど) ・導入や建築が長期にわたる場合

検証の実際〜その2

前回は、検証の流れをご紹介しました。 今回は、特に現地検証(サイトレビュー)についてご案内したいと思います。 一番気になりますよね。 ISOの審査を経験なさった方は多いかと思います。 形式的にはほぼ同じと考えてもらってOK オープニングがあって、インタビュー、マニュアルやエビデンスの確認などを行った後、現地を見て回るサイトビジット、戻ってきて審査員同士での内部ミーティング、クロージング、という流れです。 さて、最初に言っておきたいことが、2点あります。 1.担当者へ

排出量算定〜スコープ3 カテゴリー1①

それでは、スコープ3に入っていきましょう。 まずは、カテゴリー1「購入した物品・サービス」です。 スコープ3基準での定義は、こうなってます。 算定する際、最も精度が高い方法は「積み上げベース」です。 サプライヤーに算定をお願いして、排出量データを入手する方法です。 具体的には、赤枠で囲んだデータを依頼します。 場合によっては、サプライヤーにとってのカテゴリー9「輸送・配送(下流)」 まで含めることもあるかもしれません。 しかしながら、これは多大なマンパワーを必要としますし

素朴な疑問シリーズ〜上流と下流

私が算定を始めて間もない頃、「???」となったのがこの概念。 普通、「上と下」と言われれば、自分・自社を中心として「上と下」と思いますよね。水の流れと同じように、世界共通だと思っていました。 そんな意識で、スコープ3のカテゴリー「4」と「9」の説明を読んでいると「???」となったんですね。 上流にカテゴリー4があるのは分かりますが、下流にもあるじゃないですか。それで、説明を見てみると、こうなってます。 「費用を負担するかしないか」がキモなのか、と思って説明を探すと、こう

素朴な疑問シリーズ〜ダブルカウント

算定しているときにぶち当たる、素朴な疑問。ありますよね。 (というか、そういうことばかりだったりしますが) スコープ3でのFAQでも上位に位置するのは、ダブルカウントだと思います。 例えば、メーカーのカテゴリー9(輸送・配送:下流)は、小売店のカテゴリー4(輸送・配送:上流)ですよね。 メーカーのカテゴリー11(製品の使用)であれば、ユーザーのスコープ1もしくはスコープ2だったりします。 これについては、プロコトルで明確に言及されています。 「スコープ3に内在する」と