マガジンのカバー画像

算定と検証の実際

91
躓きやすい算定ルールや検証の現場の話を紹介します。
運営しているクリエイター

#温対法

クレジットと証書の違いを押さえておこう(3)

これまで、2回に亘って、「クレジットと証書の違い」による、取り扱いの相違についてご案内してきました。 最終回は、温対法における報告方法及び証書の購入方法について、簡単に説明しておきたいと思います。 SHK制度で想定している証書は、非化石証書、グリーンエネルギーCO2削減相当量(グリーン電力証書及びグリーン熱証書)です。 温対法の報告では、「第5表の2」に国内認証排出削減量にかかる情報を記入します。グリーンエネルギーCO2削減相当量の例がこちら。 ただ、省エネ法に基づく

SHK制度令和6年度報告からの変更点

環境省は、令和4年1月から12月まで、算定方法の見直しについて「算定方法検討会」で議論を行い、令和4年12月中間取りまとめを発表しました。このときは、2回に分けてご案内しました。 これを踏まえた法改正が令和5年4月1日に行われており、令和6年度報告(令和5年度実績の報告)から適用されます。 中間取りまとめには、下記7点の項目が掲載されていました。 実際には、7を除いた6項目について盛り込んだ変更がなされているようです。 マニュアル・様式はまだ旧バージョンで、後日掲載予

温対法報告はGHGの第三者検証に耐えうるのか?

自社の排出量だけでなく、バリューチェーン全体の排出量を算定する動きは、この2、3年急速に高まりました。 これは、TCFDのような、非財務情報を開示するルールが誕生し、世界各国の金融主管官庁が財務情報同様の開示を求め、機関投資家の開示要求も高まり、呼応するようにサステナビリティ関連のインデックスが乱立するなど、気候変動をとりまく環境の大きな変化が、背景にあると認識しています。 世界は「バリューチェーン」でつながっているため、中小企業も、蚊帳の外でいられなくなり、特に今年23

改正省エネ法・温対法の小径(3)

23年4月、改正省エネ法及び温対法が施行となります。 そこで、改正に至るまでのバックグラウンド及び概要をシリーズでお届けしています。 1回目は「エネルギーの定義の見直し」について説明しました。 2回目からは「エネルギー使用量の報告」についてご案内しています。 2回目では省エネ法のみの説明でしたので、3回目は温対法からみです。 「非化石エネルギー」も「エネルギー」となったことによる余波の一つは、「非化石燃料」も報告対象となったことでした。これは、省エネ法だけでなく温対法にも

改正省エネ法・温対法の小径(2)

22年5月、改正省エネ法及び改正温対法が改正されました。 施行日は23年の4月1日です。 そこで、改正にいたるバックグラウンドや、検討の変遷、内容について、WGや小委での検討資料を参照しながら、個人的な感想も含めて、複数回に分けてお届けするシリーズを展開しています。 1回目はこちら 担当者の方は大変でしょうが、コーヒーブレイク感覚でお読み下さい。 1回目は「エネルギーの定義の見直し」についてお届けしました。 2回目は「エネルギー使用量の報告」についてご案内したいと思い

改正省エネ法・温対法の小径(1)

22年5月、改正省エネ法及び改正温対法が改正されました。 これについては、 noteでも何度かご案内してきました。 施行日は23年の4月1日です。 担当部署の皆さん、準備の方はいかがでしょうか。 施行日が今年ですので、原油換算のエネルギー使用量及びCO2換算温室効果ガス排出量の報告は、令和5年度報告となる24年7月報告分から対象ですが、中長期計画書などは今年23年7月提出分から対応する必要があります。 また、報告は来年度でも、今年度から対象となるデータは収集しておく必要

GHGプロトコルとSHK制度の変換

省エネ法の報告と同時に報告している、温対法の報告。 算定報告公表制度(略してSHK制度:ダサッと思うのは私だけ?) GHGプロトコルのスコープ1・2とSHK制度は、共に、組織のGHG排出量を算定する基準なのですが、微妙に異なっており、実務を担当している人間としては、悩ましい問題です。 そこで、大本営の環境省が重い腰を上げて検討に入りました。 9月12日に第4回目が開催され、「GHGプロトコルと整合した算定への換算方法について(案)」が事務局から提示されました。 「ヤッ

SHK制度における排出係数の調整について

省エネ法及び温対法の報告期限が7月末に迫る中、担当部署はデーター収集及び整理に多忙な毎日ではないでしょうか。 義務化されている、毎年1%の原単位削減も達成できているか否か、集計してみて初めて判明する現実もあることでしょう。 SHK制度は国内法に基づいて実施され、国内のエネルギー使用量及び排出量を削減することを目的としていることから、以下のカーボン・クレジット等を用いて「調整後排出量の調整」を行うことができます。 国内認証排出削減量 ・国内クレジット ・J-VER ・J-

スコープ1・2と温対法報告の違い

温対法の報告は7月末まで。CDPの回答は7月27日まで。 担当部署の方は、集計・算定真っ盛りではないでしょうか。 いずれもWEB上で提出できますから、以前よりは楽になったとは言え、CDPは今年からという方も多いでしょうから、大変なことには変わりないかも。 さて、実務を行っていると、次々に現れる「???」 実際、私の所にも矢継ぎ早に問い合わせメールが届きます。 すぐに回答できるものもありますが、後日ということも普通にあります。 ファクトを抑えておかないと、自信持ってお応えでき

排出量算定〜スコープ2 間接排出 ③

「削減系クレジットは使えない」 これまでも、何度かご案内してきました。 「既存のものから置き換えるのであれば、このレベルの機種を選択しますよね」という機種を選ぶでしょ?だけど、それよりも、遥かに効率がよい機種を導入するので、さらに削減できます。 いやいや、全く新しい技術を使った最先端の製品を導入するので、圧倒的に削減できます。 な〜んて言って、従来品(BAU:Business As Usual)との差分を「削減量」としてクレジット化したものが、「削減系クレジット」でし