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算定と検証の実際

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躓きやすい算定ルールや検証の現場の話を紹介します。
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#第三者検証

温対法報告はGHGの第三者検証に耐えうるのか?

自社の排出量だけでなく、バリューチェーン全体の排出量を算定する動きは、この2、3年急速に高まりました。 これは、TCFDのような、非財務情報を開示するルールが誕生し、世界各国の金融主管官庁が財務情報同様の開示を求め、機関投資家の開示要求も高まり、呼応するようにサステナビリティ関連のインデックスが乱立するなど、気候変動をとりまく環境の大きな変化が、背景にあると認識しています。 世界は「バリューチェーン」でつながっているため、中小企業も、蚊帳の外でいられなくなり、特に今年23

第三者検証〜はじめの一歩(4)

温室効果ガス排出量算定結果の第三者検証を受審するに当たって、躓きやすいポイントをご案内していく「はじめの一歩」4回目。 3回目では、算定の「基本5原則」をご案内しました。 これを踏まえた算定を行っていることを前提に、受審企業と交わした「保証水準」の契約に基づき、以下の何れかの意見表明を行うのでした。 覚えていらっしゃいますか? 今回から、審査の流れに沿って、具体的にご案内していきたいと思います。 検証プロセスは、このように、事業者と検証内容についての合意することから始

検証の実際〜その6

現地検証の実際、5回目。 ようやく、クロージングミーティングに辿り着きます。 前回まではこちら 算定担当の方と発見事項をお互いに確認する作業に入ります。ここはしっかり合意しておく必要があります。「発見事項確認書」などの書面に、サインを頂くことが多いです。 まぁ、一緒に廻っていますので、意見が食い違うことはあまりありませんが、契約に従って実施していますので、必要な手続きです。 午前中に依頼したエビデンスがここで用意できていれば、ラッキーですね。修正事項については、後日と

再度「合目的的」に考えてみた(1)

先日、排出係数の扱いについて説明しました。 「排出係数の更新はどのようにすべきか」というFAQに対して、CDPの目的に着目し、「合目的的に判断しましょう」という話です。 今回は、もう少し突っ込んで、特に皆さんの関心の高いスコープ3について、考えていきたいと思います。 ここで、スコープ3の目的を考えましょう。 企業が自社の事業活動が、手の届かない範囲において排出にどの程度影響を及ぼすかを把握し、また自社の活動の変化により上流/下流においてどのような変化をするかを推測する