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算定と検証の実際

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躓きやすい算定ルールや検証の現場の話を紹介します。
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2024年7月の記事一覧

スコープ2算定 証書の活用方法は?

温対法の報告期限である7月末日を控え、データの収集・整理、算定に忙殺されている担当者の方も、多いのではないでしょうか。 CDPの方は質問書に大幅な変更があったため、例年の7月から9月へと締切が後ろ倒しされたとは言え、新しい質問に対応する負荷を考慮すると、一息つくどころか、逆にタイトなスケジュールになっているかと思います。 温対法は「法律」ですから、「対象となる排出活動」が限定されており「算定方法」と「排出係数」が詳らかにされています。(遵守しなければ罰則ですから当然ですよ

JIS Q14064-3 改訂の影響は?

……GHGに関するJISの「ファミリー規格」 その中で、算定に関わる3つの規格「JIS Q14064-1」「JIS Q14064-2」「JIS Q14064-3」が、ISO規格の改訂を受けて「ようやく」改訂されました。 このnoteをご覧頂いているのは、サス担の方など、算定する側の方々だと思いますので、重要なのは「14064-1」(組織の排出量)の算定方法だと思いますので、こちらについては、2回シリーズでお届け済みです。よろしければ、参照下さい。 他方、「14064-3」

JIS Q14064-1 どう変わったの?(その2)

GHGに関するJISの「ファミリー規格」 その中で、算定に関わる3つの規格「JIS Q14064-1」「JIS Q14064-2」「JIS Q14064-3」が、ISO規格の改訂を受けて「ようやく」改訂されました。 前回から、企業のサスティナビリティ担当として算定に携わっている方を前提に、「JIS Q14064−1(組織の排出量)」の変更点を説明しています。 殆ど影響が無いと思われるところ、1ヵ所だけ懸念されるところがありますので、紹介しておこうと思います。それは、次の項

検証と監査・審査を区別しよう(2)

「細かいことを突っ込んで説明する」シリーズ、2回目。 前回は、背景から監査と審査についてご案内しました。 今回は、本丸の「検証」の説明をしていきます。 検証の手順を規定している「JIS Q 14064-3:2023」に、ズバリ「検証」の定義がありますので、見てみましょう。 つまり「データ」が「手順」に従って、正しく計算されているかを評価するのが「検証」なのです。 それでは、GHG排出量の算定に使用するデータは、何があるでしょう。 スコープ1やスコープ2であれば、請求書

検証と監査・審査を区別しよう(1)

2022年4月4日には、東京証券取引所(JPX)が、それまでの、一部、二部、マザーズ及びJASDAQという4区分から、プライム、スタンダード及びグロースという3区分に改編したことは、よくご存知かと思います。 プライム上場企業は、上場基準として、「ガバナンス・コード(一段高い水準の内容を含む)全原則の適用」が求められました。 上場基準の「ガバナンス」にある「ガバナンス・コード(一段高い水準の内容を含む)全原則の適用」というのが、分かりにくいですね。 つまり、「一段高い水準