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算定と検証の実際

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躓きやすい算定ルールや検証の現場の話を紹介します。
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2024年6月の記事一覧

各国CPにおけるクレジットの扱いについて(1)

先日、世界銀行がリリースした「State and Trends of Carbon Pricing 2024」によると、全世界において、75の炭素税及び排出権取引(ETS)が実運用されており、過去12ヶ月で2国・地域増加しているそうです。 日本では「地球温暖化対策税」が相当しますが、燃料の供給段階で課税されるため、直截的には燃料を供給する事業者が納税義務を負います。 最終的なエンドユーザーには、燃料価格に税が転嫁される形になるのですが、過程が不明瞭ですし、転嫁できていなか

JIS Q14064-1 どう変わったの?(その1)

GHGに関するJISは複数存在します。 「ファミリー規格」とくくられますが、それぞれの関係については、このように整理されています。(それぞれの規格に同じ図が掲載されています) その中でも、算定に関わるISOは、通称「64シリーズ」と呼ばれる3規格。 検証に関わるISOは、ISO14065及び14066が代表的な規格です。 企業のサスティナビリティ担当の方が多くお越し頂いていると思いますので、検証を受ける側についてご案内していこうと思います。また、製品のライフサイクル排出量

SHK制度 「排出係数」にご用心

皆さん馴染み深い「排出係数」 GHG排出量算定において、スコープ3については、無償で利用できる環境省のDBか、IDEAのような有償のDBか、はたまた、自社あるいは業界団体で独自に算出した係数か、などなど悩みは尽きませんよね。 さらに、粒度を上げようと思うと、サプライヤーから一次データを取得したいところ、第三者検証を受審しようとすると、エビデンスの確からしさの確認の容易さから、敢えて、汎用DBを採用せざるを得なかったり。 検証の場面でも悩ましいところではあり、お互いの落と

サステナ担当悩みどころ(2 )

サス担の方々が、日々の実務の中で直面するお悩み事、様々ありますよね。 前回単発で書いたところ、また、色々と質問を受けました。 なので、時折ご案内していこうと思います。 2回目の今回は、「検証を受けるときのデータ」についてです。 SSBJが日本版S1・S2の確定基準を今年度末までに公表することに加え、金融庁が、有価証券報告書において、財務情報と併せてサスティナビリティ関連情報についても開示義務化を目指しているなど、開示周りが俄然盛り上がっているのは、ご案内の通り。 自主開