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算定と検証の実際

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躓きやすい算定ルールや検証の現場の話を紹介します。
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2022年4月の記事一覧

電力の使用による排出量(出題編)

電力の使用による排出量はスコープ2 発電に用いる燃料の採掘、輸送および送電による排出量はスコープ3 この認識は正しいのですが、バリューチェーン全体を見渡すと?となることがありませんか? まず始めに、カテゴリー3の定義を確認しましょう。 原本「Technical Guidance for scope3 Emissions ver1」にあたるのが王道ですが、日本語訳「スコープ3排出量の算定技術ガイダンス」をご案内。 これを踏まえて、考えてみます。 発電に係わる事業者は、大

素朴な疑問シリーズ〜上流と下流

私が算定を始めて間もない頃、「???」となったのがこの概念。 普通、「上と下」と言われれば、自分・自社を中心として「上と下」と思いますよね。水の流れと同じように、世界共通だと思っていました。 そんな意識で、スコープ3のカテゴリー「4」と「9」の説明を読んでいると「???」となったんですね。 上流にカテゴリー4があるのは分かりますが、下流にもあるじゃないですか。それで、説明を見てみると、こうなってます。 「費用を負担するかしないか」がキモなのか、と思って説明を探すと、こう

素朴な疑問シリーズ〜ダブルカウント

算定しているときにぶち当たる、素朴な疑問。ありますよね。 (というか、そういうことばかりだったりしますが) スコープ3でのFAQでも上位に位置するのは、ダブルカウントだと思います。 例えば、メーカーのカテゴリー9(輸送・配送:下流)は、小売店のカテゴリー4(輸送・配送:上流)ですよね。 メーカーのカテゴリー11(製品の使用)であれば、ユーザーのスコープ1もしくはスコープ2だったりします。 これについては、プロコトルで明確に言及されています。 「スコープ3に内在する」と

スコープ3のカバー率についての疑問

昨日のnoteで、長期SBTのスコープ3のカバー率は90%が条件とお伝えしましたが、補足をしておきます。 まず「カバー率」というときは、そのスコープトータルに対する比率です。 マニュアルに掲載されている、以下の表を見て下さい。 ここに書いていることは、こういうことです、 スコープ1+2の排出量合計に対して最低95%以上カバーしなさい スコープ3の排出量合計に対して最低67%以上カバーしなさい ですが、スコープ1、2はいいとして、スコープ3については、そもそも「合計が

基準年にはこだわるべきか?

目標を立てるとき、最初にすることと言えば、現状把握。 「まぁ、受けてみるか」という試験もあるでしょう。現状なんて把握してないぜ、という御仁もいらっしゃるかもしれません。 それでも、過去問をざっとでも目を通して、受けるか否かを判断しているのではないでしょうか。やはり、一応現状は把握しているわけです。一度受けてみれば、合格に対してどれくらい距離があるか確認できますので、さらに、何をしなければならないかが分かりますよね。 それは、現状把握の精度が向上したからです。 さて、C