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排出権取引の現在地

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カーボンプライシングの1つ、排出権取引。世界を見渡すと、EUや中国、韓国、ニュージーランドなど、幅広い国で実施され、着実な効果を上げています。日本で検討されているGX-ETSはど… もっと読む
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2022年10月の記事一覧

GXリーグはどこへ行くのか

期待していたからこそ、何度もご案内してきたGXリーグ基本構想。 9月6日に、第1回学識有識者検討会が開かれ、事務局よりコンセプトが公開されました。 法的拘束力の無い「ボランタリー」な制度を目指しているので、「自ら」「野心的」な削減目標を設定するか否かが重要です。それを、UNFCCCのグルーバルストックテイクのように、互いにその妥当性を検証し、確実に参加企業が目標達成に向けて削減活動を行うかが、キモですよね。 果たして、事務局提示のコンセプトには、目標の妥当性についての検

韓国の排出権取引市場について(その2)

排出権取引市場(ETS)情報シリーズとして、韓国ETSをお届けしていました。 概要に引き続き、今回は、第1、第2期間を終えた段階での成果、及び参加企業に対して実施したアンケート結果をご案内します。前回同様、IGESのセミナー資料を利用させて頂きます。 まずは、対象事業者の分布を見てみましょう。 事業者数及び割当量は、産業部門が圧倒しています。 全国に分布していますが、やはり、北西部ソウル近辺、及び南東部プサン近辺に集中しています。 各年度の結果がこちらになりますが、義

GXリーグの目指す排出量取引制度(その5)

これまで、4回にわたり、GXリーグ基本構想が検討に着手した、排出量取引制度(GX-ETS)について紹介してきました。 前置きが非常に長くなって恐縮ですが、ようやく、具体的な手続きについてです。本格稼働前と、稼働後に分けて説明がなされました。 排出量取引は、基準年排出量を算定するところがスタートです。 GX-ETSでは、2013年度〜2021年度(昨年度)から自由に選べます。 基準年の排出実績は、第三者検証が必要な点に留意下さい。 この費用は、手出しになります。 次に、2

韓国の排出権取引市場について(その1)

排出権取引市場(ETS)の現状について、これまで何度かお伝えしてきました。 今回は、お隣、韓国のETSについて、IGESがセミナーを開催されましたので、その内容を簡単にお伝えしようと思います。 ちなみに、IGESでは、気候変動トラック及び炭素市場トラックという、私が最も関心の高いテーマについて、時機を得たセミナーを開催されており、情報ソースとして、いつもお世話になっております。 なお、国内のETSは、目下「自主的なクレジット取引制度(GX-ETS)」という位置づけで、G