見出し画像

GXリーグはどこへ行くのか

期待していたからこそ、何度もご案内してきたGXリーグ基本構想

9月6日に、第1回学識有識者検討会が開かれ、事務局よりコンセプトが公開されました。

法的拘束力の無い「ボランタリー」な制度を目指しているので、「自ら」「野心的」な削減目標を設定するか否かが重要です。それを、UNFCCCのグルーバルストックテイクのように、互いにその妥当性を検証し、確実に参加企業が目標達成に向けて削減活動を行うかが、キモですよね。

第1回学識有識者検討会資料より

果たして、事務局提示のコンセプトには、目標の妥当性についての検証は無く、未達成時のペナルティーも道筋は定かにされず。「ボランタリー」の域を出ない、まぁ想定内のものでした。

第1回目ですから、委員の皆さんも、事務局案を見ながらも、今までのご自身の考え方を順番に述べる、セレモニー的なもので終了しました。

これを受けて、GXリーグ賛同企業からの意見も取り入れつつ実施された、先週の第2回目の検討会。これからが本番、事務局のやる気が見える、と期待して傍聴しました。

ですが…..

いえ、そんなに期待はしていなかったつもりですが、もしかして、という気持ちもあったのも事実でして、だからこそ、落胆したのでした。

落胆の度合いが大きかったのは、「超過削減枠」の定義について。
第1回目の検討会では、このように提示されていました。

第1回学識有識者検討会資料より

単純に、「削減目標を超過して削減した量」が超過削減枠でした。

削減目標は、「野心的な削減目標」の基準として「NDC(2013年度比▲46%)」が用いられ、事実上NDCを下回る目標を設定する参加企業は現れないと思われます。(「NDCが野心的か?」という論点もあるでしょうが)

この点が、第2回目の検討会では 変更されていました。
その内容については、クローズドのためここで明らかにすることはできませんが、落胆するに足りるものであった、とだけ言っておきます。

後日、資料が公式サイトで公開されたときにご案内したいと思います。

それに対する、委員の皆さんの意見はさほど厳しいものでなかったことも、また驚きでした。確かに、大きな変更点であると認識した上でのコメントではありましたが、非難するような内容ではありませんでした。

また、「削減目標を超過して削減した」からといって、その超過削減枠を「創出」できる訳ではありません。第1回目の検討会では、「基準年度からの削減率が一定以上であることが必要」とされていました。

第1回学識有識者検討会資料より

今回はこの議論はありませんでしたが、流れからすると、こちらは変更無しで進むのではないかと推測します。(これがなければ、「野心的な削減目標」を設定するインセンティブは、全くなくなってしまいますし)

第2回目の検討会を視聴してつくづく感じたのは、「ボランタリー」であるが故の制度の脆弱さです。

ボランタリーなので、自由に出入りできるのです。
メリットがあると判断したら参加したり、旗色が悪くなったら脱退したり。
制度設計である程度は回避できるでしょうが、義務ではない。

事務局からの説明で、何度となく「ディスインセンティブ」「インセンティブを阻害する」「インセンティブがない」といった表現が出てきました。

これはつまり、「インセンティブ」がないと参加しない、というボランタリーな制度に起因する、本質的な問題でしょう。これが、EU-ETSのように、法的拘束力を持つ制度であれば、対象事業者は、参加が義務になります。このような憂いは必要有りません。

この点が、世界で実施されている排出量取引制度との決定的な違いです。

とはいえ、来年4月の本格稼働に至るまでに、数回の検討会が予定されています。GXリーグ基本構想賛同企業からの意見、コメントも上がってきます。

せっかく、私も賛同して、意見が言える立場ですので、蟻の一撃かもしれませんが、より良い議論に貢献していきたいと思います。

もしよろしければ、是非ともサポートをお願いします! 頂いたサポートは、継続的に皆さんに情報をお届けする活動費に使わせて頂きます。