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気候変動も生物多様性も〜持続可能な世界を目指そう

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双子の条約と言われる、「気候変動枠組条約」と「生物多様性条約」だけど、後者はどうしても分かりにくいですね。でも、持続可能な世界の実現には、避けては通れません。どちらも一緒に学んで… もっと読む
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#排出量

UNの環境報告書斜め読み(2)

国連の環境報告書「Greening the Blue Report 2023」の輪読(?)実施中。 前回は、構成を紹介しつつ、独断と偏見を述べさせて頂きました。 今回は、GHGについて、気が付いた点をピックアップしようと思います。 最初にバウンダリーの説明をしておきますね。 算定対象は、スコープ1・2と、スコープ3のカテゴリー6「出張」のみです。 カテ6だけを算定に含めているのは、国連の任務が出張抜きには成り立たないことを十分認識しているからです。 では、GHG排出量を

日本の食を守っていきたい

日本の2021年度のGHG排出量は、11億7,000万tCO2e。 ガス種別だと以下のようになり、当然ながらCO2排出が主要因です。 また、分野別だと、エネルギー分野が86.8%で、ダントツ。 化石燃料の燃焼が含まれるので当然ですね。 他方、今回話題に上げようと思っている農業は、2.8%に過ぎません。 このように、CO2換算のGHG排出量で表したデータを見る限り、農業分野からの排出量は微々たるもので、優先順位は低いと思われるかもしれません。 確かに、CO2の排出だけを見

ISO14068−1を深掘りしてみた(3)

2023年11月30日、「ISO14068−1 Carbon neutrality」がリリースされたことを受けて、皆さんが気になるポイントについて解説しています。 2回に亘ってご案内したところで、ポイントは、「ネットゼロ達成のためには、吸収除去系クレジットしか使用できない」ということでした。 ここで、「カーボンニュートラリティ」ではなく「ネットゼロ」と言っているのが曲者で、その心は、「カーボンニュートラリティ達成のためには吸収除去系クレジット以外も使用できる」ということな

Fit for 55:2035年に新車とバンの排出量をゼロに

もう既に、国内の各紙でも報道されているところですが、欧州の「Fit for 55」施策の一環として、2035年に、新車の乗用車及び小型商用車については排出量ゼロとする法案が可決されました。 目的は、次の3点にまとめられると思います。 発表された内容は、このようなものです。 何度もお伝えしていますが、EUにおいては、法案を提出するのは専ら欧州委員会。その法案をEU理事会及び欧州議会において審議、可決することで法律となります。 なので、EU理事会の合意を欧州委員会が支持し