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気候変動も生物多様性も〜持続可能な世界を目指そう

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双子の条約と言われる、「気候変動枠組条約」と「生物多様性条約」だけど、後者はどうしても分かりにくいですね。でも、持続可能な世界の実現には、避けては通れません。どちらも一緒に学んで…
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2024年8月の記事一覧

SBTi Scope3 discussion paper の衝撃?!(2)

サステナ界隈で話題となった、7月30日のSBTiのプレスリリース。 公開されていた4つの文書のうちの「Scope 3 discussion paper」について、前回から内容を簡単にご紹介しています。内容盛り沢山ではありますが、詳細は追々ご案内するとして、次の2ポイントに絞って説明をしております。 前回は「1.クレジット購入によるオフセット」まででしたので、今回は、「2.アウトカムベース指標(Metrics)」の話をしたいと思います。 ディスカッションペーパーは、ネット

ICVCMの目指す「Additional」とは?(2)

前回から、特定の再エネクレジットがCCPラベル認証対象外となった理由である「Additionality」について考えています。 前回はこちら。 対象外とされたのは、再エネクレジットが8種類と、SF6排出削減クレジットが1種類。 根拠資料としているのが、ICVCMが公開した「カテゴリー評価に関する見 再生可能エネルギー」という文書なので、再エネクレジットについてのみの説明になります。 この文書で議論しているのは、「再生可能エネルギープロジェクト」が「クレジットによる支援

ICVCMの目指す「Additional」とは?(1)

先日、ICVCMが、特定の再エネクレジットは「CCP-Eligible」の認定を受けることができない旨公表した件についてご案内しました。 根拠について「CCPラベルが求める「Additionality」についての要求事項を満足しないため」と説明しただけで、何故「満たしていないのか」には触れていませんでした。 ですので、こちらについて簡単にご案内したいと思います。 そもそものプレスリリースは、こちら。 言及しているのは、こちらの箇所。「追加性 に関するCCP評価フレーム

SAFプレミアム共有プラットフォーム?(2)

成田空港をプラットフォームに、7社が合同で、SAFの環境価値を証書化、取引することを通じて航空輸送の脱炭素化を図る実証試験に着手することを発表したことを受けて、内容を簡単に紹介しております。 前回は、実証試験の概要をお届けしましたが、今回は、スキームを確認した上で、個人的な見解も交えてご案内しようと思います。 この実証試験は、プレスリリースでは次のようなポンチ絵で、取引スキームを紹介しています。 プラットフォームの左側に「航空会社」と「燃料供給事業者」が入れ替わった2つ

SAFプレミアム共有プラットフォーム?(1)

2023年8月2日、成田空港をプラットフォームに、7社が合同で、SAFの環境価値を証書化、取引することを通じて航空輸送の脱炭素化を図る実証試験に着手することを発表しました。 今回の実証試験における各社の役割、このようになっています。 証書というと、「非化石証書」あるいは「グリーン電力/熱証書」が馴染み深いかと思いますが、基本的に同様で、CO₂を排出しないというScope3環境価値(プレスリリースでの表現)を分離させたものです。共通のプラットフォームを通じて売買するというプ

GHGPのLSRガイダンス 25Q1にV1.0リリース予定

GHGプロトコルが開発中の、Land Sector and Removals Guidance。 23年Q2の予定が24年Q2へ一年延期されたあと、さらに遅れることが判明した際、ご案内していました。 目標設定のデファクトスタンダードである、SBTiのFLAGセクターガイドラインは22年9月28日にリリースされていながら、肝心の算定方法のデファクトスタンダードであるLSRGが当初予定よりも遅れていたことから、それに併せて、「アップデート」される事態にもなっていました。 そ

CORSIA シナリオ分析からの洞察

以前のnoteで、CORSIA向けの保険が 2.は「CORSIA」対応の保険です。 CORSIAは「(Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation)」の略称です。これは、国際民間航空機関(ICAO)が主導する国際的な取り組みで、エアラインに対し、一定基準を超える排出量をオフセットすることを求めています。 このCORSIAで使用できるクレジットは、フェーズ毎に申請して認証を受ける必要があ