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気候変動も生物多様性も〜持続可能な世界を目指そう

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双子の条約と言われる、「気候変動枠組条約」と「生物多様性条約」だけど、後者はどうしても分かりにくいですね。でも、持続可能な世界の実現には、避けては通れません。どちらも一緒に学んで…
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2024年1月の記事一覧

2023年のVCMを振り返ってみよう(2)

cCarbonが、2023年のVCMについて分かりやすくレビューをしてくれていました。ですので、それを参照しつつ、個人的なコメントも織り交ぜて、お届けしております。 前回は、カーボン・クレジットの償却量(二度と使えなくする処理で、利用量と考えてもらってよいです)について説明しました。今回は、その種類と発行量について見ていきたいと思います。 方法論毎の発行量がこちら。 2020年から2023年までの4年間という短い期間ですが、再エネ導入からREDD+、そして高効率機器への

SBTi参加企業数アップデート

毎月定例のSBTi参加企業数、2024年1月度。 毎週木曜日にアップデートされますので、2024年1月25日現在です。 前回はこちら。 最初に、お詫びと修正です。 下記のような誤りがありました。 ですので、Net-Zeroの参加企業数は「審査中」の企業数分だけ増えますし、SBTi短期の認定率は、分母が「コミットのみ」の企業数だけ減るので、高くなります。 今回から、SBTi短期には「審査中」「コミットのみ」を追加します。 また、認定率は正しく計算したものを掲載します。(残

開示プラットフォーム~CDP以外の選択肢?

回し者ではありませんが、これまで何度となく、適切な情報開示を行うためには「CDPを利用しましょう」とご案内してきました。 これからも、当面はこのスタンスは変わらないとは思いますが、ESG全体に関わる情報開示においては、様々なコンペティターがいるのも事実。 つい先日SNSで教えてもらったのですが、こちらは、課金しなくても、非常に利用価値があるのではと思いました。 「ESG報告の世界は複雑であり、何が、どこで、どのようにサスティナビリティ情報を開示すべきかを理解し、最新の動

日本の農業の未来は明るい!?

2023年1月22日、札幌で開催された、HAL財団主催のトークセッションに参加してきました。北海道を拠点にした財団でありながら、全国各地から、先進的な農業を実践されている農家の皆さんや、農業や食に関わる事業者、シンクタンク、政府関係者、コンサルタントの方々など、総勢約100名が北の大地に参集しました。 参加されたのは、いずれも、サスティナブルな農業を目指して、先進的な取組をされている方々ばかり。稲作が、いかにGHG、特にメタンを排出しているかを認識されており、このままでは、

統合化の端緒となった2023年(3)

(1)で情報開示の「内容」、(2)で情報開示の「方法」を振り返りました。 3回目の今回は、算定の対象及び方法を見ていきましょう。 2回目でもご案内したように、企業は、組織の排出削減に励む一方、製品単位での排出量を表示し、最終消費者の判断材料とする動きが顕著になってきました。排出量が少ない製品を購入すれば、グローバルでの排出量の削減に繋がります。 製品やサービスのライフサイクル全体におけるGHGの排出量は「カーボンフットプリント」と呼ばれ、ISO規格も存在します。(ISO1

UNの環境報告書斜め読み(1)

UNの環境報告書「Greening the Blue Report 2023」が公開されています。 脱炭素の旗振り役、大本営の現状は、いかがなものでしょうか。 製造部門を有していないグローバル企業とでも言いましょうか。 ちょっと斜め読みしていきたいと思います。 「1.環境影響」「2.環境マネジメント」「3.方法論」の三部構成となっていて、1と2は、各項目毎に一つの国連機関の事例を採り上げて紹介しています。 例えば、「2.2 Waste」では、1ページ目でUN全体のデータ

ネットゼロとカーボンニュートラリティ(2)

ISO化された「Carbon neutrality」、社内で推進していくためにはまずは基本を抑えておきましょうと、用語の説明を行っています。 前回は、GHGと温室効果ガスの違い、ネットゼロとカーボンニュートラリティの本質について説明しました。 今回は、ネットゼロのムーブメントの発端となった、UNの「Race To Zero Campaign」の定義を参照しつつ、ネットゼロとカーボンニュートラリティの違いを確認していきたいと思います。 「用語集(Lexicon)」を参照し

統合化の端緒となった2023年(2)

前回は、情報開示の「内容」について見てきました。 今回は、「方法」について振り返りたいと思います。 情報開示「方法」については、何をさておいても、開示プラットフォームのデファクトスタンダードを標榜するCDPでしょう。 回答は、サス担としては絶対外せない、毎年の恒例行事。 2022年からは、プライム上場企業全社が対象となりが話題となりました。 皆さん同様私にとっても一大関心事なので、繰り返しご案内しています。 そんなCDP、2024年にはドラスティックな変更があります。

ブルーカーボンのおさらい(2)

皆さんの関心が高まってきたことを受けて、改めてブルーカーボンについて、簡単なおさらいをしています。1回目はこちらです。 2回目は、ブルーカーボンを取り巻く情勢についてご案内します。 まずは、22年11月にエジプトのシャルム・アル・シェイクで開催されたCOP27の決定文書「Sharm el-Sheikh Implementation Plan」に、海域の保護に関する文章が盛りこまれたことが、エポックメイキングでした。 今年実施された、COP28におけるGSTの決定文書「O

日本の食を守っていきたい

日本の2021年度のGHG排出量は、11億7,000万tCO2e。 ガス種別だと以下のようになり、当然ながらCO2排出が主要因です。 また、分野別だと、エネルギー分野が86.8%で、ダントツ。 化石燃料の燃焼が含まれるので当然ですね。 他方、今回話題に上げようと思っている農業は、2.8%に過ぎません。 このように、CO2換算のGHG排出量で表したデータを見る限り、農業分野からの排出量は微々たるもので、優先順位は低いと思われるかもしれません。 確かに、CO2の排出だけを見

統合化の端緒となった2023年(1)

2023年 後から振り返ると「あの年から始まったよな」という1年になるのではないでしょうか。 気候変動対策の文脈でも、この30年、様々なマイルストーンがありました。 温暖化を認識したのは、地球サミットが開催された1992年。 温暖化対策を先進国がプレッジしたのは、京都議定書が発効した2005年。 温暖化対策を全締約国がプレッジしたのは、パリ協定が発効した2016年。 2050年Net-Zeroの機運が高まったのは、Race To Zeroが発足した2020年。 サスティ