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国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

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毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えま… もっと読む
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#省エネ法

証書・クレジットと省エネ法

証書とクレジットの違いと、それによる使い方の違いを、温対法の報告にフォーカスしてお伝えしましたが、「省エネ法だとどうなるの」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。 これについても、証書とクレジットの違い同様、温対法と省エネ法の違いを理解すると「なるほど」と合点がいくかと思います。簡単に説明しますね。 省エネ法は、日本の省エネ政策の根幹となるもので、石油危機を契機に1979年に制定されたもの。対象事業者には、エネルギーの使用状況等について定期的な報告が義務付けられており

クレジットと証書の違いを押さえておこう(3)

これまで、2回に亘って、「クレジットと証書の違い」による、取り扱いの相違についてご案内してきました。 最終回は、温対法における報告方法及び証書の購入方法について、簡単に説明しておきたいと思います。 SHK制度で想定している証書は、非化石証書、グリーンエネルギーCO2削減相当量(グリーン電力証書及びグリーン熱証書)です。 温対法の報告では、「第5表の2」に国内認証排出削減量にかかる情報を記入します。グリーンエネルギーCO2削減相当量の例がこちら。 ただ、省エネ法に基づく

改正省エネ法・温対法の小径(6)

23年4月、改正省エネ法及び温対法が施行となります。 そこで、改正に至るまでのバックグラウンド及び概要をシリーズでお届けしています。 1回目は「エネルギーの定義の見直し」について説明しました。 2・3回目は「エネルギー使用量の報告」について。 4回目は「エネルギーの算定方法における補正係数」について。 5回目は「エネルギーの算定方法における重み付け係数」についてでした。 6回目は「非化石証書とクレジットの扱い」についてです。 なお、温対法に基づいて行う、算定・報告・公表制

改正省エネ法・温対法の小径(5)

23年4月、改正省エネ法及び温対法が施行となります。 そこで、改正に至るまでのバックグラウンド及び概要をシリーズでお届けしています。 1回目は「エネルギーの定義の見直し」について説明しました。 2・3回目は「エネルギー使用量の報告」について。 4回目は、エネルギーの算定方法における「補正係数」についてでした。 5回目は、エネルギーの算定方法における「重み付け係数」についてです。 現行省エネ法は、需要家が自ら省エネを推進することを原則としていることを踏まえ、改正省エネ法にお

改正省エネ法・温対法の小径(4)

23年4月、改正省エネ法及び温対法が施行となります。 そこで、改正に至るまでのバックグラウンド及び概要をシリーズでお届けしています。 1回目は「エネルギーの定義の見直し」について説明しました。 2・3回目は「エネルギー使用量の報告」についてご案内しました。 4回目は「エネルギーの算定方法」についてです。 化石エネルギーの算定については、何も問題はありません。 他方、新しくエネルギーに加わった非化石エネルギーの算定に当たっては、次の3点の論点があるとしています。 1.は単

2つの省エネ法~縦割りの影響がここにも

改正省エネ法・温対法については、シリーズで内容をお伝えしてきました。 ここで、省エネ法には2種類あることをご存知の方はいらっしゃいますか? 正式な名称は「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」です。 東日本大震災以降、国内エネルギー需給が逼迫する中、建築部門のエネルギー消費量は著しく増加しており、省エネルギー対策の抜本的な強化が必要であるとの考えから、平成27年7月に新たな法律として公布されたものです。 この法律では、建築物のエネルギー消費性能

改正省エネ法・温対法の小径(3)

23年4月、改正省エネ法及び温対法が施行となります。 そこで、改正に至るまでのバックグラウンド及び概要をシリーズでお届けしています。 1回目は「エネルギーの定義の見直し」について説明しました。 2回目からは「エネルギー使用量の報告」についてご案内しています。 2回目では省エネ法のみの説明でしたので、3回目は温対法からみです。 「非化石エネルギー」も「エネルギー」となったことによる余波の一つは、「非化石燃料」も報告対象となったことでした。これは、省エネ法だけでなく温対法にも

改正省エネ法・温対法の小径(2)

22年5月、改正省エネ法及び改正温対法が改正されました。 施行日は23年の4月1日です。 そこで、改正にいたるバックグラウンドや、検討の変遷、内容について、WGや小委での検討資料を参照しながら、個人的な感想も含めて、複数回に分けてお届けするシリーズを展開しています。 1回目はこちら 担当者の方は大変でしょうが、コーヒーブレイク感覚でお読み下さい。 1回目は「エネルギーの定義の見直し」についてお届けしました。 2回目は「エネルギー使用量の報告」についてご案内したいと思い

改正省エネ法・温対法の小径(1)

22年5月、改正省エネ法及び改正温対法が改正されました。 これについては、 noteでも何度かご案内してきました。 施行日は23年の4月1日です。 担当部署の皆さん、準備の方はいかがでしょうか。 施行日が今年ですので、原油換算のエネルギー使用量及びCO2換算温室効果ガス排出量の報告は、令和5年度報告となる24年7月報告分から対象ですが、中長期計画書などは今年23年7月提出分から対応する必要があります。 また、報告は来年度でも、今年度から対象となるデータは収集しておく必要

気になる気になる〜改正省エネ法の行方

「エネルギー使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」が今年22年5月に改正され、来年23年4月1日より、「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」と名称を変更されて施行されることは、以前ご案内しておりました。 その中で、温算定報告公表制度(SHK制度)に一番大きな影響を与える変更点は、「エネルギーの定義の見直し」でした。 今般の改正により「非化石エネルギー」も省エネ法上の「エネルギー」となったため、「非化石エネルギー」の使用に伴い排出されるCO

省エネ法のエネルギー定義の見直し

「エネルギー使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」が今年22年5月に改正され、来年23年4月1日より、「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」と名称を変更されて施行されます。 その中で、温算定報告公表制度(SHK制度)に一番大きな影響を与える変更点は、「エネルギーの定義の見直し」です。 この理由については、省エネ法の生い立ちを知る必要があります。 そもそも、省エネ法は、石油危機を契機に「化石エネルギーの使用の合理化」を目的として制定されま

改正省エネ法を使いこなそう

2022年5月13日、エネルギー関係束ね法が参議院本会議で可決、成立しました。2050年カーボンニュートラル、温室効果ガスの30年2013年比46%減達成に向け、エネルギー需給構造の転換を後押しするものです。 「束ね」ですから、いくつかの改正がまとめられたものですが、GHG削減という観点からすると、何と言っても「改正省エネ法」です。 まず、名称が変更になりました。 旧:エネルギーの使用の合理化等に関する法律 新:エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関