マガジンのカバー画像

国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

130
毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えま…
運営しているクリエイター

#温対法

証書・クレジットと省エネ法

証書とクレジットの違いと、それによる使い方の違いを、温対法の報告にフォーカスしてお伝えしましたが、「省エネ法だとどうなるの」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。 これについても、証書とクレジットの違い同様、温対法と省エネ法の違いを理解すると「なるほど」と合点がいくかと思います。簡単に説明しますね。 省エネ法は、日本の省エネ政策の根幹となるもので、石油危機を契機に1979年に制定されたもの。対象事業者には、エネルギーの使用状況等について定期的な報告が義務付けられており

クレジットと証書の違いを押さえておこう(3)

これまで、2回に亘って、「クレジットと証書の違い」による、取り扱いの相違についてご案内してきました。 最終回は、温対法における報告方法及び証書の購入方法について、簡単に説明しておきたいと思います。 SHK制度で想定している証書は、非化石証書、グリーンエネルギーCO2削減相当量(グリーン電力証書及びグリーン熱証書)です。 温対法の報告では、「第5表の2」に国内認証排出削減量にかかる情報を記入します。グリーンエネルギーCO2削減相当量の例がこちら。 ただ、省エネ法に基づく

クレジットと証書の違いを押さえておこう(1)

現段階では、コンプライアンスであれ、ボランタリーであれ、カーボン・クレジットを購入して、組織の排出量を「オフセット」し、その「調整後」の排出量を報告することは、GHGプロトコルではNGです。 一応、サス担の方々におかれては、この認識はある程度浸透してきたのでは無いかと、希望的観測をしております。 が、次に出てくる疑問が「クレジットと証書の違い」ではないでしょうか? というのも、混同しているが故の質問をよくお受けするからです。 ──────────────────── (

SHK制度令和6年度報告からの変更点

環境省は、令和4年1月から12月まで、算定方法の見直しについて「算定方法検討会」で議論を行い、令和4年12月中間取りまとめを発表しました。このときは、2回に分けてご案内しました。 これを踏まえた法改正が令和5年4月1日に行われており、令和6年度報告(令和5年度実績の報告)から適用されます。 中間取りまとめには、下記7点の項目が掲載されていました。 実際には、7を除いた6項目について盛り込んだ変更がなされているようです。 マニュアル・様式はまだ旧バージョンで、後日掲載予

FLAGセクターのSHK制度での立ち位置

9月7日に開催された、第7回SHK制度算定方法検討会の内容について、ご案内しております。「調整後排出係数」及び「CCS&CCU」については説明しましたので、最後に「二酸化炭素除去(CDR:Carbon Dioxide Removal)」について、簡単にご紹介したいと思います。 CCUSは、工学的にCO2を回収・貯留・使用する技術でしたが、今回ご案内する「CDR」は、大気から人為的活動によりCO2を除去し、地質・陸上・海洋あるいは製品に持続的に貯留する活動のことです。 この

CCSとCCUのSHK制度での立ち位置

以前のnoteで、SHK制度における排出量の報告内容について議論がなされているとご案内しました。担当以外には「?」のような内容なので、分かりやすく説明したつもりですが、いかがだったでしょうか。 地球温暖化に対する国際的な取り組みや技術開発は、日進月歩、朝令暮改の世界なので、致し方ないところではありますが、致し方ないものはまだまだあります。 今回ご紹介する「CCS:Carbon Capture and Storage」と「CCU:Carbon Capture and Uti

改正省エネ法・温対法の小径(6)

23年4月、改正省エネ法及び温対法が施行となります。 そこで、改正に至るまでのバックグラウンド及び概要をシリーズでお届けしています。 1回目は「エネルギーの定義の見直し」について説明しました。 2・3回目は「エネルギー使用量の報告」について。 4回目は「エネルギーの算定方法における補正係数」について。 5回目は「エネルギーの算定方法における重み付け係数」についてでした。 6回目は「非化石証書とクレジットの扱い」についてです。 なお、温対法に基づいて行う、算定・報告・公表制

改正省エネ法・温対法の小径(5)

23年4月、改正省エネ法及び温対法が施行となります。 そこで、改正に至るまでのバックグラウンド及び概要をシリーズでお届けしています。 1回目は「エネルギーの定義の見直し」について説明しました。 2・3回目は「エネルギー使用量の報告」について。 4回目は、エネルギーの算定方法における「補正係数」についてでした。 5回目は、エネルギーの算定方法における「重み付け係数」についてです。 現行省エネ法は、需要家が自ら省エネを推進することを原則としていることを踏まえ、改正省エネ法にお

改正省エネ法・温対法の小径(4)

23年4月、改正省エネ法及び温対法が施行となります。 そこで、改正に至るまでのバックグラウンド及び概要をシリーズでお届けしています。 1回目は「エネルギーの定義の見直し」について説明しました。 2・3回目は「エネルギー使用量の報告」についてご案内しました。 4回目は「エネルギーの算定方法」についてです。 化石エネルギーの算定については、何も問題はありません。 他方、新しくエネルギーに加わった非化石エネルギーの算定に当たっては、次の3点の論点があるとしています。 1.は単

改正省エネ法・温対法の小径(3)

23年4月、改正省エネ法及び温対法が施行となります。 そこで、改正に至るまでのバックグラウンド及び概要をシリーズでお届けしています。 1回目は「エネルギーの定義の見直し」について説明しました。 2回目からは「エネルギー使用量の報告」についてご案内しています。 2回目では省エネ法のみの説明でしたので、3回目は温対法からみです。 「非化石エネルギー」も「エネルギー」となったことによる余波の一つは、「非化石燃料」も報告対象となったことでした。これは、省エネ法だけでなく温対法にも

改正省エネ法・温対法の小径(2)

22年5月、改正省エネ法及び改正温対法が改正されました。 施行日は23年の4月1日です。 そこで、改正にいたるバックグラウンドや、検討の変遷、内容について、WGや小委での検討資料を参照しながら、個人的な感想も含めて、複数回に分けてお届けするシリーズを展開しています。 1回目はこちら 担当者の方は大変でしょうが、コーヒーブレイク感覚でお読み下さい。 1回目は「エネルギーの定義の見直し」についてお届けしました。 2回目は「エネルギー使用量の報告」についてご案内したいと思い

改正省エネ法・温対法の小径(1)

22年5月、改正省エネ法及び改正温対法が改正されました。 これについては、 noteでも何度かご案内してきました。 施行日は23年の4月1日です。 担当部署の皆さん、準備の方はいかがでしょうか。 施行日が今年ですので、原油換算のエネルギー使用量及びCO2換算温室効果ガス排出量の報告は、令和5年度報告となる24年7月報告分から対象ですが、中長期計画書などは今年23年7月提出分から対応する必要があります。 また、報告は来年度でも、今年度から対象となるデータは収集しておく必要

SHK制度算定方法中間取りまとめ(2)

12月17日、第5回温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度における算定方法検討会が開催され、事務局より見直しの中間取りまとめ(案)が提示されたことを受けて、前回より内容をご紹介しています。 2、3、4は紹介済ですので、今回は5回からご案内します。 「5.ガス事業者別排出係数の導入について」は、既に電気事業者別排出係数一覧が整備されているので、ガス事業者及び熱供給事業者別の排出係数をを導入しようというもの。 SHK制度では、ガス・熱の使用による排出量の算定には、省令で定め

SHK制度算定方法中間取りまとめ(1)

「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)における算定方法は、日本が毎年国連に報告している温室効果ガスインベントリに準拠して2006年に規定されました。 その後、国家インベントリの算定方法は毎年見直しが行われている一方で、SHK制度については、制度開始以来ほとんど見直されておらず、算定対象活動や排出係数が事業者の排出実態に必ずしも即したものになっていないという問題がありました。 さらに、バウンダリーの考え方や、証書・