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国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

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毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えま…
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#EU

CSRD 監査意見は誰が表明できる?

国内では、昨年度末にSSBJが公開草案を公表したことを受けて、サスティナビリティ情報開示界隈が盛り上がっていますが、欧州では、CSRDが今年の1月に発効し、EU域内の大企業など一部の企業は既に「法定開示」の義務が発生しています。 EU域外企業向けは2年間後ろ倒しされたとは言え、「確定された未来」。 駆け込み対応できる訳ではありませんので、後ろ倒しすることなく、前倒し手準備を進めたいところですよね。 何よりもまず情報収集、ということで、監査法人やシンクタンクのレポートが頼り

CBAM 移行期間は移行期間〜しっかり勉強を

今年23年10月から「移行期間(Transition period)」が開始したCBAM。 第1回目の報告義務期限が来年24年1月31日に迫る中、対象セクター及びそのサプライチェーン企業は、その対応について準備を急いでいることでしょう。 5月から7月まで実施された、移行期間のみに適用されるルールに関する、コンサルテーションが実施された際には、寄せられたフィードバックを分析しました。 このときは、EU域外からのフィードバックに限って内容を確認しましたが、メディアが騒ぐほどの

EUのマイクロプラスチック流失撲滅作戦

サスティナブルな社会の実現の文脈で、にわかにCircular Economy(CE)が注目されているのは、皆さんもご案内のところかと思います。 環境政策の最先端を走るEUにおけるサーキュラーエコノミーの原点は、2011年の「資源効率のロードマップ」かと思いますが、2018年のサーキュラーエコノミーパッケージ、2020年のサーキュラーエコノミーアクションプランと、変遷してきました。 その対策の中心は、これまた注目を集めている「マイクロプラスチック」 現在は、3本の柱で施策が

EUのマイナアプリ?

日本では、マイナンバーカードが一連のトラブルにより、ガラガラポンの状況を呈しているのは、皆さんご案内のことと思います。 折しも、KDDIが2022年7月に起こした大規模通信障害から2023年7月で丸1年になりますが、ことほど左様に、日本はシステムの「運用」においては途上国レベルですね。 他方、欧州では、欧州デジタルIDの法的枠組みに関する提案の主要な要素について、欧州議会とEU理事会が暫定的な政治的合意に達したろ、欧州委員会が発表しました。 この枠組みの中心的な革新的要

カーボンプライシングとGX戦略(5)

「カーボンプライシング」と「GX戦略」を「脱炭素」というキーワードを絡めて、どのように活かしていくかを探るシリーズ、5回目です。 4回目では、「将来の税負担をより軽減し、成長志向型カーボンプライシングの果実を得るために、いち早く脱炭素化に着手しましょう」というお話をしました。 今回は、「よし、やってやろう」という動機付けになるような、排出量削減がもたらすベネフィットをご案内したいと思います。 まずは、「マイナス→ゼロ」、つまり、リスクを回避・低減できるというベネフィット

EVの主戦場はグローバル

先日、EUが「2035年までに全ての新車をゼロエミッション化」、すなわち、同年以降は内燃機関搭載車の生産を実質禁止するものの、カーボンニュートラルな合成燃料を使う新車については、例外として販売を認めることを決定したことをお伝えしました。 製造業界で合成燃料の開発に最も熱心なのは、自動車メーカーのポルシェと、総合電機・電子メーカー、シーメンスの子会社シーメンス・エナジーということらしいので、断固として反対の立場をとったドイツ政府も、中間管理職だったんでしょうね。 さて、そん

Fit for 55 パッケージ 第一弾

欧州議会は、2022年4月11日、「Fit for 55 in 2030パッケージ」のうち、以下の内容を含む重要な法案を承認しました。 「Fit for 55」とは、2030年までに温室効果ガスの純排出量を少なくとも55%削減するというEUの目標です。この施策は、気候変動法に基づいて策定されています。 「パッケージ」は、その目標を達成するために、EUの法律を改正・更新し、新しいイニシアチブを導入する一連の提案のことをいいます。ですので、今回承認された法案は、その一部という

EUの反森林法成立、CBAMと同じ構図?

欧州では、反森林法(森林破壊により造成した農地で栽培された農産物を原料とした、パーム油、コーヒー、チョコレートなどの製品の販売を取り締まる法案)が議論されていて、来月23年5月にも発効するようです。 とは言いながら、恩恵に浴すると思われる国・地域から、保護主義だ、リーケージにつながる、零細農家を廃業に追いやる、対象地域・作物が差別的だと、批判されています。 どんな法案かというと、「EUは、熱帯林破壊と関連した生産物の主要な輸入国である」という認識の下、それらを生産するため

Fit for 55:2035年に新車とバンの排出量をゼロに

もう既に、国内の各紙でも報道されているところですが、欧州の「Fit for 55」施策の一環として、2035年に、新車の乗用車及び小型商用車については排出量ゼロとする法案が可決されました。 目的は、次の3点にまとめられると思います。 発表された内容は、このようなものです。 何度もお伝えしていますが、EUにおいては、法案を提出するのは専ら欧州委員会。その法案をEU理事会及び欧州議会において審議、可決することで法律となります。 なので、EU理事会の合意を欧州委員会が支持し

CBAMが導入が事実上決定

13日、欧州議会とEU理事会がCBAMの導入について合意に達したことは、日経メディアでも報道されているので、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。 まだ「暫定的かつ条件付きの合意(provisional and conditional agreement)」であり、最終決定に至るには、EU各国及び欧州議会において「採択(adoption)」される必要があります。 とはいえ、暫定合意内容にあるように、23年10月以降に運用が開始されることは間違い無いでしょう。初期は移行期間の位