CBAMが導入が事実上決定
13日、欧州議会とEU理事会がCBAMの導入について合意に達したことは、日経メディアでも報道されているので、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。
まだ「暫定的かつ条件付きの合意(provisional and conditional agreement)」であり、最終決定に至るには、EU各国及び欧州議会において「採択(adoption)」される必要があります。
とはいえ、暫定合意内容にあるように、23年10月以降に運用が開始されることは間違い無いでしょう。初期は移行期間の位置づけで、報告のみが義務化、それ以降完全な CBAM開始となります。
CBAMはEU-ETSにおける、多排出セクターに対して実施されていた、排出枠の無償割当とセットであるため、CBAMが導入されると段階的に廃止されていきます。
多排出セクターに対するEUの方針が、「大目に見るからEUから出て行かないでね」という「アメ」から、「出ていってもいいけど、入るときには金を払えよ」という「ムチ」へ、徐々に変わっていくということですね。
対象となるセクターは、当初は下記の6セクター。CBAM証書の購入費用はEU-ETSの排出権価格をベースに算定されます。対象セクターは順次拡大される予定です。
なお、CBAMでは間接排出(スコープ2)も、「間接的な排出も、十分に配慮された形で規制の対象に含まれることになるだろう」とのこと。EU-ETSは直接排出量(スコープ1)のみですので、「十分に配慮された形で」という表現となっているのでしょう。
目下絶賛検討中のGX-ETSにおいても、直接排出量のみが対象です。これは、参加企業に発電事業者も想定しているためで、ここまでの検討会においても問題となっておりません。ただ、GX-ETSはCBAMを横目に見て導入を図ると思いますので、気になるところです。
いずれにせよ、CBAM導入は、EU-ETSとの関係で見ていかなければならない事案です。これら両者がどのように調整をとりながら導入、変更されていくか、今後十分ウォッチングしていきたいと思います。
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