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国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

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毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えま…
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2024年6月の記事一覧

EU-ETSのこれまでとこれから(2)

ETSの草分け的存在、EU-ETSについて振り返りをしております。 前回は「これまで」をお届けしました。 今回は「これから」とその先を考えてみたいと思います。 開始からの20年間で、対象範囲は段階的に広げられてきました。当初は電力とエネルギー産業が主な対象でしたが、2012年からは域内航空、2021年の第4フェーズからはアルミ、セメント、化学品などの産業に範囲が及ぶようになり、現在の制度のカバー率は、EU全体の排出量の約40%に達しています。 今後、更なる対象拡大と制

台湾のクレジット事情 現状確認

AlliedOffsetsの隔週発行ニュースレター「Policy Carbon Currents」 気になっていたイシューをタイムリーにレポートしてくれるので、非常に助かります。 今回は、台湾のクレジット動向がテーマ。 法規制関係は中国語のみが多いので、とかく情報収集に苦慮するので、めちゃくちゃ参考になりました。 昨年23年8月、台湾証券取引所と台湾当局系ファンドの国家発展基金が共同で、台湾初のカーボン・クレジット市場「台湾炭権交易所」を設立、関連する法整備などを行った後

EU-ETSのこれまでとこれから(1)

「気候変動対策は世界的な課題となっており、各国が様々な取り組みを進めている」という枕詞は既に耳にタコですが、「対策」の草分けといってよいEUの排出量取引制度(EU-ETS)について、皆さん、どれだけご存知でしょうか。 一方で、WTOルールとの整合性や他国の反発などの懸念材料がありながらも、リーケージ回避を主眼に置いた炭素国境調整措置(CBAM)が、2026年1月から開始されます。(2024年10月からEU域内の輸入事業者には報告義務が課せられています) 日本でも、何度目か

EFRAGのアウトリーチ半端ない

EFRAG(European Financial Reporting Advisory Group)ご存知ですか? 欧州委員会の支援を受けて設立された民間組織で、欧州連合における財務報告基準の策定と承認に重要な役割を担っています。 EFRAGは欧州委員会の依頼を受けて、専門的な知見に基づき様々な法令のドラフトを作成します。欧州委員会はこれらのドラフトを参考にしつつ、最終的な法令化を行います。 CSRDにおける開示ルールである「ESRS」も、依頼を受けて作成。 欧州委員会

米国から目が離せない?!

4月9日、SBTiによるスコープ3削減に当たってクレジットの利用を認める旨の声明を発端として、サステナ界隈がざわつき始めたのは、皆さんご承知の通りでしょう。 実際問い合わせも多く、取り急ぎ、個人的な見解をご案内しました。 もしご覧になっておられないようでしたら、是非。 これに至る伏線は複数あり、さほど驚きではありませんでしたが、やはり、足元で起きている現象を俯瞰して、今何が起きているかを把握する「Insight」と、これらを解釈して将来何が起こりそうかを予測する「Fore