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国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

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毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えま…
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2024年2月の記事一覧

大波乱のSSBJ第30回会合(3)

前回まで、2回に亘って、金融庁の野崎課長の発言及びそれから想定される将来の規制について、想いをはせてきました。 課長退席後は、通常の委員会に戻りましたので、そちらの議論もお届けしておきますね。 個人的に着目したのは、次の3点 1は皆さん気になるところでしょう。 ESRSにおいても、EFRAGのドラフトに対し、欧州委員会から出てきた修正案では、「マテリアリティ」に関わらず開示すべきとされる対象が大幅に削られ、「骨抜きにされた」といった議論が持ち上がったことは記憶に新しいと

大波乱のSSBJ第30回会合(2)

前回ご報告したように、2月6日に開催された第30回サステナビリティ基準委員会は、金融庁野崎課長の適用対象企業に対する爆弾発言による、これまで委員会で重ねてきた議論が瓦解しかねない状況となりました。 課長の発言中に、以下の文言が繰り返し散りばめられていたことからも、SBBJが適用対象と想定していた有価証券報告書提出企業、あるいは、プライム・スタンダード・バリューといった上場企業のうち、「グローバル」でない企業からのクレームが多数寄せられていたことが想定されます。 「グローバ

削減実績量?⊿CO2?

サステナ界隈で話題になってる(?)、経産省の研究会での議論内容。 ご存知の方も、いらっしゃることでしょう。 昨年11月14日の第1回会合で紹介されていたときには気づいていませんでしたが、年が明けてからも継続して検討され、メディアでも報道されるようになり、にわかに注目を集めるようになった感があります。 2月9日に行われた第3回会合では事務局から名称案も提示され、委員の皆さんも真面目に意見を述べるなど、もうリリース間近の雰囲気でした。 その注目の的は「削減実績量(⊿CO2)

中国のETSとVCMの現在(2)

みずほ銀行のレポートを情報源に、中国のETSとVCMの現状をキャッチアップしております。前回は、イントロだけで終わってしまいましたので、今回は、中身に入っていきたいと思います。 ETSとVCMとは何ぞや、について簡単に説明していますので、ご関心のある方は、参考になさって下さい。 さて、前回説明したCCER(China Certified Emission Reduction)から話を始めましょう。中国が温室効果ガスの排出量を削減し、環境保護目標を達成するために設計されたも

大波乱のSSBJ第30回会合(1)

2023年6月の、IFRS S1・S2リリースを受けて、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は日本版のS1・S2を策定すべく、精力的に会合を実施しています。年も明け、公開草案の発表が年度末に迫り、佳境に入ってきました。 委員会では、論点毎に慎重に審議していると認識しており、できるだけチェックするようにしています。 委員会に提出される事務局資料は、基本、全てサイトで公開されています。 しかしながら、文案等の審議資料は「審議中」なので非公開扱いです。 事務局資料中に「事務

バイオマス発電の悩みどころ

バイオマス使用によるGHG排出量については、算定ルールによって取り扱いが異なっていることは、皆さんご承知かと思います。 算定した上で別途報告であったり、カーボンニュートラルとしてそもそも算定不要(算定対象外)だったり。 直接排出では、例えばSHK制度では、CH4及びN2Oの対象となる排出活動として「バイオマス燃料の使用」があります。それでなくとも、事業者が「バイオマスを使用している」という認識があるので、必要であれば算定できるところでしょう。 他方、間接排出、つまり電力