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削減実績量?⊿CO2?

サステナ界隈で話題になってる(?)、経産省の研究会での議論内容。
ご存知の方も、いらっしゃることでしょう。

昨年11月14日の第1回会合で紹介されていたときには気づいていませんでしたが、年が明けてからも継続して検討され、メディアでも報道されるようになり、にわかに注目を集めるようになった感があります。

2月9日に行われた第3回会合では事務局から名称案も提示され、委員の皆さんも真面目に意見を述べるなど、もうリリース間近の雰囲気でした。

第3回 産業競争力強化及び排出削減の実現に向けた需要創出に資するGX製品市場に関する研究会 資料より

その注目の的は「削減実績量(⊿CO2)」です。

グリーン商材の付加価値付け検討WG提言書より

そもそもこの概念は、GXリーグにおける有志で構成された「グリーン商材の付加価値付け検討WG」にて「グリーン価値の新指標」として提案されたもので、「マスバランス方式を参考にグリーン価値を商品にバランス配分」することを企図したものでした。

GXリーグに参画しているので、昨年末WGのアウトプットとして紹介されたときにいち早く知ることになったのですが、ことほど左様に、経産省の研究会で具体的な議論の俎上に上げられるとは、思ってもいませんでした。

グリーン商材の付加価値付け検討WG提言書より

まぁ、錚々たる構成メンバーからなるWGですから、然もありなんかと。

私的な意見を述べさせてもらうと、2009年以降、政権が変わりながらも延々と議論を続けて、なお日の目を見なかった(と思っている)ETS。すべからく、環境省や経産省など官主導だったことが要因だと分析。

であれば、民がルールセッターとなり、官が裏書きすればよいのでは?との思惑から、GXリーグが創設されたものと邪推しています。

「あなたたちで決めたことだから、守ってよね」と。

なので、そのGXリーグのWGの提言であれば、誰も文句は言うまい。メンバーの顔ぶれから見ても、大丈夫だろうと。後は、政府の審議会での議論という「due process 」を踏むだけ。

この「削減実績量」が加点ポイントの一つなって、「GX経済移行債」が配分されることになるのでしょう。

という、個人的な所感を述べたところで、簡単に説明をしておきましょう。

委員をされていらっしゃる伊坪先生の説明が非常に分かりやすかったので、有難く拝借させて頂きます。

伊坪先生手書きのポンチ絵をもとに著者作成(一部改変及び追記)

何も難しいことはありません。
比較対象が、自社の既存製品の「リアル」な排出量であるだけです。

業界の平均的な製品(BAU)などのような「想定」の排出量と比較する場合が、「削減貢献量(回避削減量)」と考えればよいかと。

将来を2050年とすると、それまで削減努力を行い(削減実績量を積み上げ)ながらも、どうしても残ってしまう排出量が「Residual emissions(残余排出量)」、それに至るまでの削減量は「Unabated emissions(削減余地のある排出量)」となります。

個人的には、敢えて「削減実績量」なんていう呼称を付して、別だしする必要は全く無いと考えています。そんなことしなくても、製品単位の排出量を明らかにすればよいだけの話。

購入側は、スコープ3カテゴリー1の排出量を削減したいと思えば、その数値を見て判断します。「削減量」ではなく「排出総量」が重要でしょう。

もちろん、社内で排出量の分析をする場合には、様々な切り口で「見える化」することは有効ですので、それもありだとは思います。ですが、それを社外に対しての訴求手段とするのは、どうなんでしょう。

「削減貢献量」は日本が言い出しっぺだったのに、WBCSDに持って行かれた。だったら、今度こそ「日本発」のグローバルな指標を作る。なんて思ってはいないでしょうか…..

皆さんは、どのように感じ、お考えになられたでしょうか。
気分を害されたのであれば、申し訳ありません。
「何だかなぁ」という想いが先に立ってしまったのが正直なところ。
あくまでも、個人的な見解というところで、お許し下さいマセ。



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