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国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

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毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えま…
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2023年4月の記事一覧

EVの主戦場はグローバル

先日、EUが「2035年までに全ての新車をゼロエミッション化」、すなわち、同年以降は内燃機関搭載車の生産を実質禁止するものの、カーボンニュートラルな合成燃料を使う新車については、例外として販売を認めることを決定したことをお伝えしました。 製造業界で合成燃料の開発に最も熱心なのは、自動車メーカーのポルシェと、総合電機・電子メーカー、シーメンスの子会社シーメンス・エナジーということらしいので、断固として反対の立場をとったドイツ政府も、中間管理職だったんでしょうね。 さて、そん

開示ルールの進む道〜interoperability

4月1日、GRIスタンダードを設定する独立機関であるGSSB(Global Sustainability Standard Board)の議長に就任した、キャロル・アダムス氏がコメントを発表しています。GSSBより就任を伝えるメールが届きましたので、その内容をお伝えします。 キャロル・アダムスは、オーストラリア公認会計士協会のサステナビリティ報告に関するアドバイザーや、同国会計基準審議会のサステナビリティ報告諮問委員会の委員を務めるなど、サステナビリティ報告に関して国際的

Fit for 55 パッケージ 第一弾

欧州議会は、2022年4月11日、「Fit for 55 in 2030パッケージ」のうち、以下の内容を含む重要な法案を承認しました。 「Fit for 55」とは、2030年までに温室効果ガスの純排出量を少なくとも55%削減するというEUの目標です。この施策は、気候変動法に基づいて策定されています。 「パッケージ」は、その目標を達成するために、EUの法律を改正・更新し、新しいイニシアチブを導入する一連の提案のことをいいます。ですので、今回承認された法案は、その一部という

GHGプロトコルの矜恃

算定に携わっている方が一番お世話になっているガイドラインと言えば、GHGプロトコルでしょう。(直接的にはお世話になっていなくても) スコープ3の算定では、法律の建て付けで考えると 法律:コーポレート基準 施行令:スコープ3基準 施行規則:テクニカルガイダンス のような感じ。実務ではガイダンスを参照していくことになると思います。 この他に、特定のセクター向けのガイダンスも整備しています。 GHGプロトコルは、組織、企業、セクター横断的に利用可能とするために、極めて一般

EUの反森林法成立、CBAMと同じ構図?

欧州では、反森林法(森林破壊により造成した農地で栽培された農産物を原料とした、パーム油、コーヒー、チョコレートなどの製品の販売を取り締まる法案)が議論されていて、来月23年5月にも発効するようです。 とは言いながら、恩恵に浴すると思われる国・地域から、保護主義だ、リーケージにつながる、零細農家を廃業に追いやる、対象地域・作物が差別的だと、批判されています。 どんな法案かというと、「EUは、熱帯林破壊と関連した生産物の主要な輸入国である」という認識の下、それらを生産するため

内燃機関車の生きる道

EU理事会は3月28日、2022年10月に欧州議会と暫定合意していた、乗用車・小型商用車CO2排出基準に関する規則の改正案を正式に採択しました。 欧州議会は2月14日に同改正案を正式に採択していることから、EU官報掲載から20日後に発効することが決定というわけです。(欧州の立法手続きでは、欧州委員会が法案を提出、EU理事会と欧州議会で採択されれば、めでたく法律になります) 改正案は、「2035年までに全ての新車をゼロエミッション化」、すなわち、同年以降は内燃機関搭載車の生