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GHGプロトコルの矜恃

算定に携わっている方が一番お世話になっているガイドラインと言えば、GHGプロトコルでしょう。(直接的にはお世話になっていなくても)

・コーポレート基準(2004)
・スコープ2算定ガイダンス(2015)
・スコープ3基準(2011)
 テクニカルガイダンス(2015)
・プロダクト算定基準(2011)

スコープ3の算定では、法律の建て付けで考えると

法律:コーポレート基準
施行令:スコープ3基準
施行規則:テクニカルガイダンス

のような感じ。実務ではガイダンスを参照していくことになると思います。

この他に、特定のセクター向けのガイダンスも整備しています。

土地セクター及び炭素除去/農業

GHGプロトコルは、組織、企業、セクター横断的に利用可能とするために、極めて一般的な基準、ガイダンスとなっています。そのため、GHGプロトコルに準拠した個別のルールが、セクター毎に策定されているのも事実。

それらのルールの内、GHGプロトコルと協業で策定されたものがあります。
Tools Build on GHG Protocol」と言われるもので、このようなロゴが表示されております。

また、協業レベルに留まらず、ほとんどを委任しているものがあります。
スコープ3カテゴリー13:投資です。

the Global GHG Accounting and Reporting Standard for the Financial Industry」という基準で、The Partnership for Carbon Accounting Financials (PCAF) が開発したものです。

GHGプロトコルのレビューを受け、スコープ3基準を満たしていることが確認されており、「Tools Build on GHG Protocol」ではありますが、別格です。ウェブサイトも、「Guidance」のページで紹介されています。

このように、排出量算定の総本山、デファクトスタンダードとなっているGHGプロトコルですが、発行されてから10年以上が経過し、時代にそぐわなくなっている面は否定できません。

IPCC AR6において、地球の平均気温上昇が人的要因であることが確定的とされ、各国がネットゼロを宣言し、各企業が1.5℃目標に合致した長期目標を立てることが一般化しつつある中、アップデートは必須でしょう。

ということで、2022年11月から2023年3月にかけて、GHGプロトコルは、4つのオンライン調査および提案書提出を通じて、既存の基準/ガイダンスの更新や新しいセクター別ガイダンスの開発に関する提案を行い、ステークホルダーの意見を収集しました。

1,400 件以上の調査回答があり、現在、調査票の提出と提案内容を検討・分析し、ステークホルダーに公開しているとか。今後数週間以内に調査結果のサマリーが公開される予定だそうです。

GHGプロトコルメールより

調査方法の詳細については、GHGプロトコルの調査メモがサイトで紹介されていま。こちらを参照ください。

調査プロセスの一環として、既存基準及びガイドラインの更新、修正、追加提案、または現行アプローチ維持の希望等々を提出することもでき、230 件以上の提案を受けたそうです。公開を希望したプロポーザルはこちらのサイトで紹介されています。(150件以上あります、とても読めません(^_^;))

事務局は、諮問機関および意思決定機関を刷新するそうで、その後、協働してGHG プロトコルの基準およびガイダンスの更新および追加ガイダンスの範囲を決定するとしています。

引き続き、事務局は技術作業部会とレビュー部会の招集がなされ、基準及びガイダンスの更新手続が開始となるのでしょうね。

GHG算定のISOと呼んでも良い「GHGプロトコル」、その矜恃を見せるべく始動開始というところでしょうか。

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