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目指せネットゼロ、世界は既に動いてる

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2050年カーボンニュートラルを政府が打ち出す前から、すでに、世界は動いていました。「やるか、やらないか」ではありません。「いつやるか」です。そのために必要な情報を、提供していき…
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#scope3

Verraの「Scope3 Standard Program」に期待(3)

CDPとBCGによる、23年のCDP質問書回答を分析したレポート「Scope3 Upstream: Big Challenges, Simple Remedies」で明らかになった、スコープ3排出量算定の課題について、2回に亘ってお届けしています。 前回はこちら。 今回は、その課題に対し、Verraが「Scope 3 Standard Program」を推進しているのですが、その効果について話をしていきたいと思います。 「Scope 3 Standard Program

Verraの「Scope3 Standard Program」に期待(2)

前回から、6月25日にCDPとBCGが合同で発表した、23年のCDP質問書回答を分析した新しいレポート「Scope3 Upstream: Big Challenges, Simple Remedies」で明らかになった、スコープ3排出量算定の重要性について、思うところをお話ししています。 その課題に対し、Verraが推進しているプロジェクト「Scope 3 Standard Program」が、果たしてソリューションになるのか? という視点で考えてみたいと思います。 まず

SBTi参加企業数アップデート

毎月定例のSBTi参加企業数、2024年8月度。 毎週木曜日にアップデートされますので、2024年8月29日現在です。 前回はこちら。 SBTiは23年5月から、Beta版のTarget dashboardを運用し始めています。 運用開始から1年以上経ちますが、今でも、Legacy版との並行運用となっており、フィードバックも募集していることから、Legacy版に対して根強い需要があるのでしょうね。 かくいうこのnoteでも、Beta版ではデータのフィルタリング方法が変更

SBTi Scope3 discussion paper の衝撃?!(3)

SBTiが7月30日に公開した4文書のうちの「Scope 3 discussion paper」について、2回に亘ってご紹介してきました。 このディスカッションペーパーのポイントは次の2つであると思っていて、1回目で、「オフセット」についての考え方をご案内。2回目からは、「アウトカムベース指標」について考えています。 ディスカッションペーパーは、ネット・ゼロ達成へ向けて、次の5ステップでのフレームワークを提案しているのですが、「アウトカムベース指標」は、主に、ステップ2と

SBTi Scope3 discussion paper の衝撃?!(2)

サステナ界隈で話題となった、7月30日のSBTiのプレスリリース。 公開されていた4つの文書のうちの「Scope 3 discussion paper」について、前回から内容を簡単にご紹介しています。内容盛り沢山ではありますが、詳細は追々ご案内するとして、次の2ポイントに絞って説明をしております。 前回は「1.クレジット購入によるオフセット」まででしたので、今回は、「2.アウトカムベース指標(Metrics)」の話をしたいと思います。 ディスカッションペーパーは、ネット

SAFプレミアム共有プラットフォーム?(2)

成田空港をプラットフォームに、7社が合同で、SAFの環境価値を証書化、取引することを通じて航空輸送の脱炭素化を図る実証試験に着手することを発表したことを受けて、内容を簡単に紹介しております。 前回は、実証試験の概要をお届けしましたが、今回は、スキームを確認した上で、個人的な見解も交えてご案内しようと思います。 この実証試験は、プレスリリースでは次のようなポンチ絵で、取引スキームを紹介しています。 プラットフォームの左側に「航空会社」と「燃料供給事業者」が入れ替わった2つ

SAFプレミアム共有プラットフォーム?(1)

2023年8月2日、成田空港をプラットフォームに、7社が合同で、SAFの環境価値を証書化、取引することを通じて航空輸送の脱炭素化を図る実証試験に着手することを発表しました。 今回の実証試験における各社の役割、このようになっています。 証書というと、「非化石証書」あるいは「グリーン電力/熱証書」が馴染み深いかと思いますが、基本的に同様で、CO₂を排出しないというScope3環境価値(プレスリリースでの表現)を分離させたものです。共通のプラットフォームを通じて売買するというプ

Scope 3 Flexibility Claim(ベータ版)

23年6月に、クレジットを使う側のルールである、Claim Code of Practice(CoP)のVer.1がVCMIからリリースされたことは、既にご案内済みでした。 これは暫定版という扱いで、11月に予定されている最終版が待たれていたところ、11月28日、COP28開幕前に滑り込みセーフ、リリースされました。 公開されたフレームワークを用いて、企業は、「Silver」「Gold」「Platinum」のクレームバッジを表示できることになります。 今回の目玉は、Co