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目指せネットゼロ、世界は既に動いてる

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2050年カーボンニュートラルを政府が打ち出す前から、すでに、世界は動いていました。「やるか、やらないか」ではありません。「いつやるか」です。そのために必要な情報を、提供していき…
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2023年4月の記事一覧

EVの主戦場はグローバル

先日、EUが「2035年までに全ての新車をゼロエミッション化」、すなわち、同年以降は内燃機関搭載車の生産を実質禁止するものの、カーボンニュートラルな合成燃料を使う新車については、例外として販売を認めることを決定したことをお伝えしました。 製造業界で合成燃料の開発に最も熱心なのは、自動車メーカーのポルシェと、総合電機・電子メーカー、シーメンスの子会社シーメンス・エナジーということらしいので、断固として反対の立場をとったドイツ政府も、中間管理職だったんでしょうね。 さて、そん

内燃機関車の生きる道

EU理事会は3月28日、2022年10月に欧州議会と暫定合意していた、乗用車・小型商用車CO2排出基準に関する規則の改正案を正式に採択しました。 欧州議会は2月14日に同改正案を正式に採択していることから、EU官報掲載から20日後に発効することが決定というわけです。(欧州の立法手続きでは、欧州委員会が法案を提出、EU理事会と欧州議会で採択されれば、めでたく法律になります) 改正案は、「2035年までに全ての新車をゼロエミッション化」、すなわち、同年以降は内燃機関搭載車の生

削減貢献量について考えて見る(5)

WBCSDが発行した、削減貢献量(Avoided Emissions) の算定・報告に関するガイダンスについて、シリーズでご案内しています。 1回目では、「削減貢献量」という概念について私なりの見解を述べました。 2、3回目では、「削減貢献」を謳う資格があるか否かの要件である、3つのGateについての説明。 4回目からは、具体的な算定方法についての説明に入ったところで、下記4ステップ(Step 5 は optional)のうち、Step 2まで終了しました。 Step

削減貢献量について考えて見る(4)

WBCSDが発行した、削減貢献量(Avoided Emissions) の算定・報告に関するガイダンスについて、シリーズでご案内しています。 1回目では、「削減貢献量」という概念について私なりの見解を述べました。 2、3回目では、「Eligible claim」、つまり、算定しようとしているプロジェクト/ソリューションが、「削減貢献」を謳う資格があるか否かの要件である、以下の3つのGateについて説明をしたところです。 4回目は、削減貢献量の算定方法を一緒に見ていきまし

削減貢献量について考えて見る(3)

WBCSDが発行した、削減貢献量(Avoided Emissions) の算定・報告に関するガイダンスについて、シリーズでご案内しています。 1回目では、「削減貢献量」という概念について私なりの見解を述べました。 ICVCMは、企業が「削減貢献量」を謳うためには、次の3つのゲートをクリアする必要があるとしており、2回目では、Gate 1とGate 2について説明をしたところです。 「そもそも、削減貢献を謳うには、自社が高い目標を掲げて、削減に努めておきなさい」ということ

削減貢献量について考えて見る(1)

WBCSDが2023年3月22日、削減貢献量(Avoided Emissions) の算定・報告に関するガイダンスを発行したことを受けて、一斉に報道がなされていることは、皆さんもご案内の通りかと思います。 削減貢献量という概念は、LCA学会や経産省、産業界の産学官が連携して、普及に務めてきたという経緯があります。 検討の中心であるLCA学会の環境負荷削減貢献量評価手法研究会からは、2015年3月に初版、2022年3月に第2版の「温室効果ガス排出削減貢献量算定ガイドライン」