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内燃機関車の生きる道

EU理事会は3月28日、2022年10月に欧州議会と暫定合意していた、乗用車・小型商用車CO2排出基準に関する規則の改正案を正式に採択しました。

‘Fit for 55’: Council adopts regulation on CO2 emissions for new cars and vans

欧州議会は2月14日に同改正案を正式に採択していることから、EU官報掲載から20日後に発効することが決定というわけです。(欧州の立法手続きでは、欧州委員会が法案を提出、EU理事会と欧州議会で採択されれば、めでたく法律になります)

改正案は、「2035年までに全ての新車をゼロエミッション化」、すなわち、同年以降は内燃機関搭載車の生産を実質禁止する、というものでした。

EU理事会は当初、3月上旬に正式採択する見込みでしたが、ドイツが2035年以降も、カーボンニュートラルな合成燃料を使用する内燃機関車の販売継続を求めて反対していたことから、採択できない状態に陥っていました。

今回採択された改正案は暫定合意に基づくテキストのままで修正はされていないそうなので、2035年に全ての新車のゼロエミッション化に向けて電動化を推進するのは変わらないはずです。

じゃぁ、何故採択に至ったかというと、法案を提出した欧州委が「ステークホルダーと協議を行い、合成燃料など炭素中立な燃料のみを用いて走行する車両の2035年以降の販売について提案を行う」とする改正案の前文11項の内容を遅延なく実施すると表明したからだとか。

前文は前文、法律ではないので法的拘束力を持ちません。ドイツ政府としては電動化推進の立場でありながら、産業界や連立を組んでいる自由民主党の意向もあり、落とし所を探っていたのでしょうね。

とはいえ、合成燃料など非バイオ由来の再生可能燃料(RFNBO)の定義も明確でなく、対象となる車両が救急車など特別な用途の車両だけなのか、使用する全ての車両を対象としているのか、などなど、実施規則はこれから検討するようです。

合成燃料については、こちらを参照ください。

ただ、世界は、否応がなく、Go Green、Go EVです。

米EPAは、4月12日、新たな排ガス規制案を公表。自動車メーカーに対して、GHG大幅削減を求める内容で、EV拡販がターゲットです。

中国では、国6bと呼ばれる新たな排ガス規制が今夏にも始まる予定であり、規制に適合しない車両の在庫が急増していると言われます。

このように、尻に非がついた国では、開発競争が激化し、結果、EVのコスト競争力が高くなってくるでしょう。また、RFNBOのコストは、現在のガソリン・軽油とは比べられないほど、高いものになるものは必定。消失するマーケットに投資するメーカーはありませんから。

結局、化石燃料が必要な、スーパーカーやクラッシクカーオーナーの道楽としてしか、残る道はないのでは?というのが、個人的な見解。化石燃料からEVへという世界的な潮流は(良いか悪いかは別にして)、変わらないはず。

EUの35年内燃機関車販売禁止案が修正された、という報道を受けて、各所から問い合わせを受けることがあったので、つらづらと考えてみました。

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