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高品質なカーボン・クレジットを求めて

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誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。
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#カーボン・クレジット

VCMに革命をもたらす10のイノベーション(4)

BeZero Carbonのレポートを、簡単な説明と、個人的見解を交えてご案内しているシリーズ、最終回。 前回までで1〜6まで紹介しましたので、今回は、残りの7〜10です。 よろしければ、こちらもご参照下さい。 10のイノベーションはこちらでした。 7. Insurance - giving the risk to people who want it クレジットを買う側からすると、これまでは、プロジェクトが実現するか、イニシャルのリスクが大きかったように思います。つ

VCMに革命をもたらす10のイノベーション(1)

クレジットの創生に東奔西走する私としては、捨て置くわけにはいかないタイトルのレポートを、BeZero Carbonが出していました。 BeZero Carbonは、独立したリスクベースでプロジェクトの品質を評価するカーボン・クレジット格付企業です。 専門のアナリストと独自のモデルにより、ライフサイクルのあらゆる段階に対するレーティングとリスク分析を行っており、その方法論や評価フレームワークが常に公開されていることから、個人的に期待しています。継続的に監視され更新されるのも

VCMのプラットフォーム〜ACX

VCMの動向をチェックするのにお世話になっているのが「ACX」 カーボン・クレジットの取引が全てウェブ上で完結するマーケットを提供する企業です。安全で信頼性が高く、堅牢なプラットフォームを提供、透明な価格設定、効率的な取引、決済リスクの軽減、低い手数料を謳っています。 皆さんご存じのように、ボランタリークレジットは、まだまだ相対取引がほとんどを占めているため、いくらで取引されたのかは分かりません。そこに、ACXのような、クレジット価格がウェブ上で確認できる市場の存在価値は

カーボン・クレジットマーケット元年

先月末、JPXが「カーボン・クレジット市場」の開設日を発表しました。 メディアが一斉に伝えましたので、皆さんもよくご案内のことでしょう。 2022年9月から2023年4月まで実施した試行事業では、実証参加者は183者、実際に注文したのは60者、売買が成立したのは55者だったとのこと。活況とは言えない状況ではありましたが、本稼働ではどうでしょうか。 取引対象は、当面はJ-クレジットのみですが、JCMやGXリーグの超過排出枠にも対象を拡げたいとしています。また、立会外取引も想

高品質なクレジットを目指して(3)

VCMI(Voluntary Carbon Markets Integrity Initiative:自主的炭素市場十全性イニシアチブ)が、カーボン・クレジットの使用に際し、その透明性と信頼性を確保するための指針「The Claims Code of Practice (CoP)」の案が発表され、現在パブコメが終了し、内容を精査していると思われます。 このCoPについて、前回から紹介しています。 その「CoP」は4つのステップからなっておりまして、1と2は紹介済。 1.

高品質なクレジットを目指して(2)

「安かろう悪かろう」ではありませんが、ボランタリーなカーボン・クレジットについて、ネガティブな意見や懸念する声があるのも現実。残念ながら、実体の無いクレジット、ウォッシュと捉えられても仕方の無いクレジットもあるようです。 しかしながら、質の高いクレジットであれば、企業はクレジットの購入を通じて、自社のバリューチェーン内だけでなく、バリューチェーン外での排出削減に貢献できます。これは、まさしく、SBTiがNet-Zero Standardで求めている、「BVCM:Beyond

カーボン・クレジット・レポート

「カーボンニュートラルの実現に向けたカーボン・クレジットの適切な活用のための環境整備に関する検討会」という経産省の審議会で、「カーボン・クレジットとはどうあるべきか」という議論がなされていました。 これは、2020年10月に菅義偉首相(当時)が「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言し、2021年4月には2030年の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減する目標を表明したことに、端を発します。 皆さん、覚えていらっしゃいますか? 目