あの頃の私に一番会わせたい人


誰かいないの?

パニック障害という言葉。当時は誰も知りませんでした。
私も初めての発作から数年後に知ったのですから。

まだまだパニック障害なんて言葉も、その症状も認知されていない時代でした。「自分の身に起きたことが何なのか?そして今もなお、発作に怯える日々はどうして続いているのか?」それさえわからないのは、怖いとしか言いようがありませんでした。ひどい状態に陥ったとき、必死で答えを探しまわりました。

私の身に起きている諸症状、それはどうすれば解消されるのか?

その解が知りたくて、そしてこれを乗り越えた人がどこかにいないのか?
いつも、「自分と同じ症状を乗り越えた人に会いたい、話を聞いてみたい」
そう思っていました。

誰かいないの???

ネットもない時代、情報の乏しさ

でも、インターネットもない時代です。今やパニック障害と検索窓に文字を入れると果てしなく情報が出てきますが、当時はなにもなかった。

病気のことは「本」で情報収集、病院のことは「電話帳で情報収集」そんな時代だったんですよ。今では信じられませんね。(あらま、年齢がバレバレ?)

初めての発作の頃は、まだ心療内科もなかった時代でした。私が知らなかっただけかもしれませんし、田舎にはなかっただけかもしれまんが。
電話帳で調べているうちに、メンタル系の治療院みたいなところがたくさんあることを知りました。

でも調べたところで、行けないんです。遠すぎたり、そもそも病院でさえ怖かったのですから…

誰かいないの?私に情報を頂戴っ!!
どれほど電話帳で調べても、経験者にはたどり着くはずがありません。

明けても暮れても毎日闘うのは自分

まさしく、明けても暮れても、私は自分自身に起こる「不安」と闘っていました。

毎日毎日、いえ、ひどい時は、毎瞬毎瞬…

一日中、意識は自分の精神状態に集中しています。
気が抜けないんです。いつ何時、不安に襲われて発作が起きるかわからなかったし、ちょっと気を抜いてしまった次の瞬間にものすごい不安感に襲われることがしょっちゅうで、本当に疲れ果てていました。

それでも、そこで自分自身が崩れてしまうと、本当になにもかも出来なくなっていきそうで、日々のルーティーンだけはこなせるようにと、頑張っていました。子育てもあったので、子供の面倒だけはみたかったのです。

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似たような男性がいた!けど…

そんな時、ママ友に相談にのってもらっていたら、ある情報を聞くことができました。

そのママ友の知人の男性が、以前から私と似たような症状になって、大変だったんだと教えてくれたのです。

でもその男性は、会社勤めをしていて、一家の大黒柱ですから、会社を休んでいるわけにもいかず、病院に行って薬を処方してもらい、なんとか仕事にいっているとのこと。

せっかく見つけたけれど、似ているようで、私とは境遇が違いすぎて、この男性の中に「解」はないことを知りました。

やっぱり同じ人はいないの?誰かいないの??
病院も行かず、薬も飲まずに治した人はいないの?

病院も行かず、薬も飲まずに治した人はいないの?…

病院にいっても治るわけがない。それはわかっていました。
薬がパニック障害を治してくれることはないからです。

どうにか意識を切り換えられると、不安もなくなるんじゃないだろうか?
そう思っていた私は、まだ諦めきれずにいました。

病院にも行かずに、薬も飲まずに治した人はいないの?
そんな方法を知っている人はいないの?
私と同じ症状でそこから立ち直った人はいないの?
それを教えてくれる人はいないの?誰かいないの?

今ならわかります。パニック障害は治すとかそういうものではない。

そうこうしているうちに、インターネットが普及しはじめました。
私は必死で探しまわりました。

そうこうしているうちに、文面からして私と似たような感じの女性が書いた文章にたどり着いたんです。
でも、はっきりとパニック障害とは書いていません。文章を読んでいると、スピリチュアルっぽい感じもします。しかし、これまでの中で唯一、私のことを理解してくれそうな感じだったのです。

私はその人に会いたくて会いたくてたまりませんでした。
でも、当時はその人に連絡をとる術がなかったのです。あきらめざるを得ませんでした。

世の中には私と同じ症状の人が絶対にいるはずなんだという思いとともに
この言葉が私の頭の中に芽生えてきたのはこの頃でした。

それなら私がその人になればいい

明けても暮れても不安感からは抜け出せず、かといってどうすればいいのかもわからない。だんだん、そんな自分に嫌気がさしてきて、悔しくて怒りまでこみあげてきました。

あまりのくやしさに、そして自分の軟弱な心に腹が立ち…

「それなら絶対に私がそんな人になってやる!」

怒りの先に待っていたのは、そんな強気すぎる言葉でした。
間髪入れずに、「無理に決まってるでしょ?」と反論する自分もいましたが…でも今、私が思っていた”そんな人”になることができています。

あの頃の私に一番会わせたい人

今の私はもう自由に行動できますし、不安感もありません。
今お悩みのパニックさんに、未来をお伝えすることもできるようになりました。たくさんの苦しみと闘ってきた私は、ある時こう思いました。

ああ、あの頃に今の私が傍にいたら…
どんなに心強かっただろう?

あの頃の私に一番会わせたい人
それは「わたし自身」なのでした。


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