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なんだか無性に惹きつけられる。

過日、東京国立近代美術館で開催中の「ゲルハルト・リヒター展」へ。
1932年生まれ、御年90歳を迎えたゲルハルト・リヒターの60年以上に及ぶ軌跡を辿る企画展。

写真を正確に写し取るように描いた「フォト・ペインティング」、キャンバスを灰色の絵の具だけで塗り込める「グレイ・ペインティング」、キャンパス上にさまざまな色の絵の具をのせて、引きずるように伸ばしたり、削ったりしながら創り上げる「アブストラクト・ペインティング」など、全138点が展示されている。

言われなければ、“ソフトフォーカスの写真”にしか見えないフォト・ペインティング

最新作のドローイングも含め、「滾(たぎ)っているなぁ」というのがわたしの感想。

キャンバス上で絵の具を引っ掻いたり、削り取ったり。どうやってゴールを決めるんだろ。アブストラクト・ペインティング

描かずにはいられない。
描きたくてしょうがないんだ。

たとえばわたしが70歳、80歳になったとき、自分の仕事に対してこれだけの衝動と情熱を持てるだろうか。

目がチカチカしそうなカラー・チャート。これがケルン大聖堂のステンドグラスのもとになった

でも、一方でとても冷静な印象も受ける。
なんなんだろう、この感じは。

一体どんな人なんだろうと気になったら止まらなくなり、リヒターの半生を描いたという映画『ある画家の数奇な運命』も観てみた。

Amazonプライム・ビデオで観られます。3時間強とちょっと長いけれど私は好きだった

映画化するにあたり、リヒターは何が真実で、何が創作かは明かさないことを条件にしていたそうだが(&完成後に監督と大揉めに揉めたようだが)、リヒターが生まれたのはナチス政権時代の旧東ドイツ。この背景だけでも、壮絶な体験をしているであろうこと、そしてその体験が人生に大きな影響を及ぼしているであろうことは想像に難くない。

展示作品のなかで私が好きだったのは、写真に油絵具などをべったりと塗りつけた「オイル・オン・フォト」と、板の上に複数色の塗料をのせてかき混ぜ、動き出した塗料の上にガラス板を上から載せた「アラジン」。

オイル・イン・フォトのポストカードを買いました。この絵の具のモリッとした質感が好き。

なんだかよくわからないけれど、無性に惹かれる。(アートってそういうもんだよなぁ)

本当のところは、リヒターはいつも何を思いながら描いているんだろう。

くぅーー。
収納場所に困りはじめて断念した図録、やっぱり買えばよかった。
会期中にもう一度、行ってしまうかもしれない。

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