ラジオ好きによる、ラジオ好きのための。
平日の朝は、TBSラジオから始まる。
流れるのは大体、「森本毅郎スタンバイ!」か、「生島ヒロシのおはよう一直線」の中の、檀れいさんが担当するコーナーのあたり。
出かける用事だったり、あんまり頭を使う仕事がなければ午前中はそのまま流し続ける。
1度に2つのことができないタイプだから、ちゃんと仕事しながらラジオを聴くということができない。(ついでに言うと、夜は眠いので深夜ラジオは聴けない)
TVを持たないわたしにとって、ラジオは貴重な情報源。
『明るい夜に出かけて』は「パンサー向井#ふらっと」で紹介されていたのをきっかけに手に取った1冊。
主人公は元・伝説?のハガキ職人・富山。
接触恐怖症が原因でトラブルを起こし、心を閉ざしてしまった富山は大学を休学し、ネタ投稿もやめてしまう。
※ココで引きこもらず、ひとり暮らしをしてコンビニでアルバイトしているのがすごいと思う。わたしだったらきっとこもってしまいたくなる。
「アルコ&ピースのオールナイトニッポン」をきっかけにもう一度ネタを投稿するようになり、偶然出会ったアルピーANNの常連ハガキ職人“虹色ギャランドゥ”(すごいラジオネーム!)こと高校2年生佐古田愛や、バイト先の先輩でニコ動で歌を配信している鹿沢らとの交流を通して少しずつ心を開き、やがて前を向いて進み始める、という物語。
とにかくこの人(著者の佐藤多佳子さん)、めちゃくちゃ深夜ラジオが好きなんだな、ということがビシバシと伝わってくる作品。
なんだかずっと、そのままラジオ番組を聴いているような感覚だった。
とても共感するのは、普段呼び捨てにしているタレントがパーソナリティを務める番組のヘビーリスナーになると、日常的に呼び方が“さん”付けになる、というくだり。
(わたしも伊集院さんのラジオを聴くまでは、伊集院光と呼び捨てにしていました)
ラジオの魅力はパーソナリティやほかのリスナーとの距離の近さにある。
大沢悠里さんは番組が始まる前、「お仕事中の方、病気療養中の方もお聴きになってくださいね」と毎朝温かく呼びかけていた。
いまはジェーン・スーさんがそれを引き継いで「お仕事中の方、お休みの方、子育て、介護、病気療養中の皆皆さま、今日も午後1時までお付き合いのほどよろしくお願いします」と呼びかける。
自分だけに言っているわけではないけれど、自分「にも」言ってくれている。
そう思わせてくれる温かさが、ラジオの魅力だ。
以前、あるラジオパーソナリティの方にインタビューをしたとき、「東日本大震災が発生した際、不安でたまらない中で聴いていたラジオに励まされたのをきっかけにこの仕事を目指した」と言っていたのを思い出す。
わたしも何度、ラジオに励まされ、笑わされ、お便りを聴きながら一緒に泣いたり怒ったりしただろう。
富山や佐古田のように、深夜にひとりぼっちで聞いていたら、なおさらではないかなと思う。
「いいよね、ラジオって!」
本を閉じた瞬間、頭に浮かんだ言葉はこのひと言だった。
つい先日、関取花さんの『ラジオはTBS』のMVが公開された。
「パンサー向井#ふらっと」の裏側が舞台なんだけれど、こんな風に番組が作られているんだ、こんなにたくさんのスタッフさんが関わっているんだ、と思うとまたラジオへの愛着が増す。
やっぱりいいよね、ラジオって!
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