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『レバレッジ起業』著者に聞く、「バーチャル社員」を活用した高効率経営術〜イベントレポート

事業機会を見つけたらあっという間にサービス紹介ページを作って問い合わせが来る仕掛けを作り、仕事が取ってから必要な強みを持つパラレルワーカーによるプロジェクトを組成する「レバレッジ起業」のツボを、実践者である株式会社ベンチャーネットの持田社長に伺いました。

ゲスト:持田卓臣さん
株式会社ベンチャーネット代表取締役、レバレッジ起業家

1978年、神奈川県川崎市生まれ。早稲田大学商学部、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。大学卒業後、ヒューレットパッカード社にてITコンサルタントとして従事。
2005年に創業した株式会社ベンチャーネットは、日本オラクル社のゴールドパートナーとしてマーケティングオートメーションの導入・運用の支援を行うほか、マーケティングオートメーションの活用に必要となる、SEOやウェブ制作といったリードジェネレーション事業、さらにマーケティングオートメーションで育成したリードを営業にパスする際に必要となるSFA・CRMのコンサルティング事業を展開。近年は、企業全体の業務効率化を図るためのRPAコンサルティング事業も行っている。

レバレッジ起業の考え方

「一人社長と外注」の関係ではなく、対等な仲間と一緒にプロジェクトをやっていくコンセプト。初期費用を下げることで、ビジネススキルを上げながら、新しいことにチャレンジできるようにすることが特徴。

本当はフルタイムの社員契約がいいのかもしれないが、お互いにそのリスクを取れないための現実的な判断。

起業時のビジネスモデルもお客さんも変わっていくので、ビジョン、ミッション最初はなくてもいい。スタートアップのような、最初に大きなビジョンを掲げて大きな資金を集め、急成長を目指すモデルもあるが、レバレッジ起業は、少数精鋭で利益率高く、人のしがらみなく、気持ちよく働くスタンス。

今はマーケットがあるかないかわからない中でビジネスを始めなければならないため、オフィスなし、転送電話、問い合わせへの回答は即日でなくてもいいなど、形式にとらわれなければ、コストとリスクを下げられる。

ベンチャーネットは15年経営しており、利益率も良く、大企業との面白い仕事もできている。このような仕事の仕方が広まれば、個性が生かせる働き方が広まると考えている。

仕事を取ってから、完成度を上げていく

事業機会を見つけサービスを思いついた瞬間に、サービス名、サービス概要、料金体系までざっくりと書き、ランディングページ(LP)をすぐに公開してしまう。ランディングページの型が出来ているのですぐに作れる。

潜在顧客を獲得するより顕在顧客を取る方が先。「今すぐ客」だけを狙っているから基本的なことを書けば問い合わせが来る。問合せが来たら、予算やスケジュールを確認し、要件に応じてバーチャル社員を探して実施する。「釣竿」を多く作るという考え。正社員雇用ではないので「釣れない」間の費用がかからないからできる戦略。

いきなり素晴らしいサービスは立ち上げられない。先に仕事を取り、仕事を通じて完成度を上げていく。最初にかっちりしたものを作ってやらないとダメだという固定観念を捨てる。お客さんに迷惑かけないことが大前提だが、ゲームだと思って、楽しみながら集中してやる。杓子定規で考えるより、お客さんに合わせるつもりでやる。

お客さんを通して自分の強みを知る。内省では見つからない。まずは釣竿を下げてお客さんとの出会いを探す。いいお客さんとの成功体験が繰り返されると、お客さんを通して自分の強みが見える。苦にならず上手くいき、相手に感謝されることこそが自分の強み。

プラットフォームからいい人を一本釣り

中小企業は1人の人で変わる。そういう人を探す。ランサーズやクラウドワークスのような「信頼を見える化」してくれているサービスが便利。分野ごとに色々なサービスがあるものの、登録者数の多いところが色々な人がいるので、ランサーズとクラウドワークスを使うことが多い。ビザスクもいいサービス。

プロジェクトを立てて公募するよりも、いい人を見繕ってチャットで個別に声がけする。こういう内容をいくらでという、仕事を軸として声がけする。それに対する回答でスピード感や価値観を見て、自分と一緒に仕事ができる人かを判断する。

プラットフォームごとにで集まっている層は違う。主婦ライターなら@SOHO、技術者はランサーズやリファラル(紹介)で見つけることも多い。若い世代の優秀層、特に海外インターン生を紹介してくれるサービスは面白かった。優秀なのでゴールドマン・サックスなど、いいところに就職していった。自分より優秀で若い人は刺激になる。

キャスタービスは、チームを作ってくれるのはいいが、その人々が自分にフィットするかわからない。1人1人自分との相性を見たいし、金額の調整もできるので、自分は使っていない。

「強み」にフォーカスし、他は目をつぶる

結果を出す人を集める。自分に持っていないスキルを持っている人を探す。自分の欠点があれば、それができる人と組めばいいという考え。裏切られても仕方ないと思える人にする。そうしないと、監視したり、相手を詰めてしまう事になる。

人を選ぶ際に気をつけているのは「美点凝視」。1つ2つ強みがあれば、他の欠点は目をつぶる。連絡遅いけど技術力高い、朝いないけどドキュメントが素晴らしい、など。人の欠点は指摘しない。そうしたところで変わるものではないから。脛に傷があるけどめちゃくちゃ尖っている人々が集まっている。

知り合いより、ランサーズなどで見つけた知らない人の方がいい。自社の役員で10年一緒に仕事しているが、鹿児島にいて2度しか会った事がない人もいる。知っている人はむしろ気を使うし、しがらみもある。仲が良かったりする人と仕事でまずいことがあるとその後の関係がまずくなる。プライベートと仕事は分ける。

テキストベースのコミュニケーションができない人とは仕事ができない。文章が書けないのは、頭の中が混乱しているから。チャットでの簡潔なやりとりが気持ちいいと思える人しか残らない。要は日本語をちゃんと使って、ということ。ノリで仕事をするとリモートワークは崩壊する。

大企業顧客がリモートOKになってきたので、今まで打ち合わせに出られなかった地方メンバーが打ち合わせに出られるようになり、話が進みやすくなった。大企業の人も、家にいるといい意味でゆるさも出て、仕事がしやすくなった気がする。

契約の形は色々

仕事は3ヶ月から6ヶ月で区切りをつけることが多い。仕事が終わるのはニーズがなくて売れなかったなど、市場・顧客側の理由が多い。相手にはあらかじめ「その人のせいでない理由でやめることがある」と、市場の要件が満たされずやめるケースがあることを伝えておく。

仕事のスタイルが合わない人でも、売上が上がり仕事が続けば、やがて合ってくる。逆に、売上がないと仕事も続かないし、それで険悪になるのも不毛。撤退条件を決めておくことが大事。

バーチャル社員に頼む仕事は開発、通訳兼技術者、Web制作、アートディレクター、YouTube制作、など様々。パワポ資料制作というのもある。自分がテキストでアウトラインを伝えると、それをスライドにしてくれる。

契約は業務委託が多い。大企業は客先常駐もあり、派遣契約で送ることもあるので派遣免許も持っている。変わった契約では、レベニューシェアもある。固定給を下げ、売上の10%を渡す。SEOは利益に対するボーナステーブルもうけ、3ヶ月ごとに精算。付加価値などに応じて契約を変える。顧問弁護士もいるが、役人出身のメンバーがが契約書を作ってくれている。

経営者は市場を見つけるのが仕事

経営者の仕事は市場を見つけ、客を見つけること。仕事を通してしか成果物はできない。また、お客さんと交渉して落とし所決める、値付け、お金の配分も。価値の高い人には極力高いお金払えるように調整する。

トラブル対応も経営者の仕事。納品しないで技術者が失踪した、コミュニケーション下手で怒られたなどのフォローと対処。お客さんにもバーチャル社員にも責任をなすりつけることはできないので、経営者が前面に立ち、責任を取らなければならない。

チームを組成した人は、リーダーシップで皆を引っ張るだけでなく、サポートしてチームが回るようにすることも大事。特定の人がムードや文化を壊すこともある。そういう人がいたらやめてもらうことも、大変ではあるが、チームを作った人の責任。

ベンチャーネットではルールをチャットワークで毎週自動で全バーチャル社員に送っている。「社内政治をしない、圧を作らない」など。新しく入った人にもカルチャーを浸透させられる。困ったことがあれば直接言ってと伝えている。ダイレクトなコミュニケーションを心がけている。

次回イベント:オンラインビジネスを立ち上げて半年で2,000万円の売上をでつくった方法

コロナで売上がゼロになった後、一人でオンラインビジネを立ち上げ、半年で2,000万の売上をあげた起業家の戸田さんにお話を伺います。

著書『オンライン・セミナーのうまいやりかた』


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