マンション標準管理規約 平成28年改正点①外部役員関係の新設部分

標準管理規約平成28年改正点②→

 マンションの役員のなり手不足、また高経年のマンションの増加による専門的知識を踏まえた管理運営など、年が経つとともにマンションの運営に外部専門家を加える事が求められるようになりつつある。その要求を踏まえて、平成28年改定標準管理規約には、選択肢の一つとして外部役員を選任できる場合の条文を作っている。

 外部役員を選任するにあたってはその能力などに着目して選任する事になる。新設された標準管理規約第35条第4項であるが、外部役員を細則で選任できると読めるが、外部役員とは言え、やはり総会で選任するのがふさわしいだろう。

 以下に、平成28年標準管理規約に追加された外部役員関係の条文、コメントを引用する。利益相反取引などは別の記事で紹介する。

コメント全般関係

③ 近年、マンションの高経年化の進行等による管理の困難化やマンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化が進んでおり、これらの課題への対応の一つとして、外部の専門家の活用が考えられる。以前から、管理組合がマンション管理士等の専門家に対し、相談、助言、指導その他の援助を求めることについては規定してきたが(第34条参照)、さらに進んで、外部の専門家が直接管理組合の運営に携わることも想定する必要がある。このような外部の専門家には、管理の執行を担うという点から、特に、管理規約、管理の委託、修繕、建替え等に関する広範な知識が必要とされ、例えば、第33条及び第34条関係②に挙げるような者が外部の専門家として想定される。
 外部の専門家が管理組合の運営に携わる際の基本的なパターンとしては、別添1に示したとおり、(1)理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型、(2)外部管理者理事会監督型、(3)外部管理者総会監督型の三つが想定される。
 この標準管理規約は、理事会を中心とした管理組合の運営を想定したものであり、第35条第2項において組合員要件を外した場合には、(1)理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型による外部の専門家の活用を可能とするように規定を整備している。
 なお、(2)、(3)を採用しようとする場合における規定の整備の考え方については別添1に示すとおりである。

コメント第33条及び第34条関係

① (略)
 なお、外部の専門家が直接管理組合の運営に携わる場合の考え方については、全般関係③、別添1等を参照のこと。

標準管理規約 第35条

外部専門家を役員として選任できることとする場合
2 理事及び監事は、総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。
4 組合員以外の者から理事又は監事を選任す場合の選任方法については細則で定める。

コメント第35条関係

① (略)全般関係③で示したとおり、必要に応じて、マンション管理に係る専門知識を有する外部の専門家の選任も可能とするように当該要件を外すことも考えられる。この場合においては、「外部専門家を役員として選任できることとする場合」の第4項のように、選任方法について細則で定める旨の規定を置くことが考えられる。この場合の専門家としては、マンション管理士のほか弁護士、建築士などで、一定の専門的知見を有する者が想定され、当該マンションの管理上の課題等に応じて適切な専門家を選任することが重要である。
⑤ 第4項の選任方法に関する細則の内容としては、選任の対象となる外部の専門家の要件や選任の具体的な手続等を想定している。なお、⑥及び第36条の2関係②について併せて参照のこと。
⑥ 外部の専門家を役員として選任する場合には、その者が期待された能力等を発揮して管理の適正化、財産的価値の最大化を実現しているか監視・監督する仕組みが必要である。このための一方策として、法人・団体から外部の専門家の派遣を受ける場合には、派遣元の法人・団体等による報告徴収や業務監査又は外部監査が行われることを選任の要件として、第4項の細則において定めることが考えられる。

標準管理規約 第36条(役員の任期)

外部専門家を役員として選任できることとする場合
4 選任(再任を除く。)の時に組合員であった役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。

コメント第36条関係

③ 第4項は、組合員から選任された役員が組合員でなくなった場合の役員の地位についての規定である。第35条第2項において組合員要件を外した場合には、「外部専門家を役員として選任できることとする場合」のような規定とすべきである。それは、例えば、外部の専門家として選任された役員は、専門家としての地位に着目して役員に選任されたものであるから、当該役員が役員に選任された後に組合員となった場合にまで、組合員でなくなれば当然に役員としての地位も失うとするのは相当でないためである。
④ 役員が任期途中で欠けた場合、総会の決議により新たな役員を選任することが可能であるが、外部の専門家の役員就任の可能性や災害時等緊急時の迅速な対応の必要性を踏まえると、規約において、あらかじめ補欠を定めておくことができる旨規定するなど、補欠の役員の選任方法について定めておくことが望ましい。

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