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内法?壁芯?マンションの面積はどっち?

 マンションのお部屋を購入する時、80平方メートル欲しいと思い、広告にも80平方メートルと書かれているお部屋を購入したのに、名義変更してみたら、75平方メートルしかなかった!という経験をした方はいらっしゃらないでしょうか。

 マンションのお部屋の面積には、内法計算による面積と壁芯計算による面積の二つがあります。内法は「うちのり」読みます。内法なんて普段はなかなか使わない言葉ですが、内法面積とは実質的に使える部分の面積です。法律的な言葉を使うと「壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。」(区分所有法第14条)となります。これも難しく書いていてわかりにくいですね。内法面積を端的に言うと、壁に囲まれた面積ということになります。お部屋の中の壁から壁の距離を測って面積を出すと、それが内法面積になります。

 壁芯面積とは、壁の中心線で囲まれた面積のことになります。隣との壁の真ん中が中心線なので、住んでいる人が自分の部屋の壁芯面積を測るためにメジャーを持ってきても、壁を中心線まで壊さないと測れません。この壁の中心線を知るためには、図面を見るのが一番早いです。

 壁芯面積は建築基準法で定められており、一戸建てなどの建物の床面積は壁芯面積が使われ、登記上の床面積も壁芯面積が表示されます。マンションにおいても、一棟の建物の登記上の床面積は壁芯面積が表示されます。マンション(区分所有建物)のお部屋の一つひとつの登記上の床面積は内法面積になります。

 内法面積は、登記してはじめて確定するものです。しかし、内法面積がわからないからと言って建築中に面積不明として販売するわけにも行かないので建築中は壁芯面積で販売することになります。建築中の販売は壁芯面積で、完成後または中古のお部屋の取引は内法面積のみで行えば問題はないのですが、中古物件販売において面積表示は内法面積でも壁芯計算でもどちらも使え、かつ法的規制も無いので、見た目の数字の大きい壁芯計算による面積が広告で使われることが多いです。

 このようにマンションのお部屋の面積を表す基準が2つあるために、マンションの販売においては、お部屋の面積80平方メートル(壁芯)というふうに断り書きがつくことになります。内法面積を広告に使う時は、75平方メートル(内法)とか(公簿)などと言った断り書きになります。

 マンションで考えると、全体の面積は壁芯計算、専有部分の面積は内法計算と二重基準が使われていますので、全体の面積から専有部分の面積を差し引いても共用部分の面積になりません。専有部分の内法計算に合う全体の面積の算出方法は外壁線に囲まれた面積になります。外壁線で囲まれた総面積から専有部分(内法面積)の合計面積を差し引けば正しい共用部分の面積になります。

 内法と壁芯の面積違いについては、不動産業者が購入前に重要事項として説明すべきことなので、最初に書いてる事例のような話はないはずです…

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