マイクロビーズ:化粧品に入っている12種類のプラスチック
マイクロビーズとは?
マイクロビーズは、サイズが5mm以下で水に溶けない固形のプラスチック粒子のこと。つまり、マイクロプラスチックの一種です。
化粧品のほか洗剤などの日用品にも意図的に配合されています。また、技術が進んだため、現在ではナノサイズともいえる小さな粒子で配合されていることも多くあります。
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マイクロビーズを化粧品に配合する理由
シャンプーや洗顔料などの洗い流す化粧品では、角質除去や洗浄の目的でマイクロビーズが配合されてきました。期待される効果は、肌表面から乾燥した古い角質を取り除き、毛穴づまりを改善すること。いわゆる「スクラブ」や「ピーリング」効果です。
マイクロビーズが登場する前は、こうした効果を期待して塩やナッツの殻を使った天然成分が使用されていました。
しかし、マイクロビーズの使用感ほうがなめらか。それに、安価で安定性も高いことからマイクロビーズの使用が急速に広がりました。
また、多くのメイクアップ製品でもマイクロビーズは使用されています。例えば次のようなもの。
ファンデーション
コンシーラー
プレストパウダー
チーク
アイライナー
マスカラ
口紅
リップライナー
フェイスマスク
メイクアップ製品では、色が長持ちする・よれない・落ちない・カバー力などが重視されます。マイクロビーズの特性により、こういった機能をメイクアップ製品に付加しているのです。
化粧品で使われるマイクロビーズ
化粧品で使われているマイクロビーズには、下記のようにたくさんの種類があります。
マイクロビーズの原料は、ペットボトル(PET)や収納ボックスの素材(PP)など、化粧品以外で見かけることも多いプラスチック素材です。これらの一般的なプラスチック素材が、化粧品成分としても配合されているのです。
ポリエチレン(PE)
ポリプロピレン(PP)
ポリ塩化ビニル(PVC)
ポリスチレン(PS)
ポリウレタン
ポリエチレンテレフタレート(PET)
ポリビニルアルコール(PVA)
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)
ポリアミド
ナイロン
ポリブチレンテレフタレート(PBT)
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
どうしてダメなの?
マイクロビーズは、ほとんどの廃水処理システムでは回収不可。そのため、使用後に排水されると川や湖、海に流れ着きます。
その後、環境中に残留し、海洋生物や自然環境、最終的には人間の健康に有害な影響を与える可能性があります。
例えば、洗い流す化粧品へのマイクロビーズ配合を禁止しているスウェーデンでは、次のように示されています。
「マイクロプラスチックは非常に小さなプラスチック粒子で、環境中での分解が極めて遅い。湖や海に流れ着くと、イガイや甲殻類、魚類などに悪影響を及ぼす危険性がある。また、マイクロプラスチックを摂取した水性生物には、食物摂取量の減少や炎症、生殖機能に影響が起こる可能性がある。加えて、マイクロプラスチックに含まれている有毒物質を水生生物が摂取する可能性もある」
また、マイクロビーズを含むプラスチック製品は、製造時にたくさんの添加物が使用されています。中には、安全性に疑念が残るものも。
そんなマイクロビーズが誤って体内に取り込まれた場合、人体にどんなリスクがあるのかはまだはっきりとわかっていません。
マイクロビーズの代替成分
化粧品のマイクロビーズによる環境への影響は、車のタイヤや合成繊維の衣服に比べるとかなり少ないことは事実。でも、代替できるのであれば、地球にも人にもよりやさしい成分が使われているほうが嬉しいですよね。
環境保護意識の高まりから、世界的にマイクロビーズをできる限り使わないという動きが増えています。そして、多くのメーカーは洗い流す製品において、マイクロビーズを下記のような天然成分に置き換えています。
ミツロウ
コメヌカ油
トウモロコシ
タピオカ
カルナウバロウ
海藻
シリカ
クレイ(粘土)
マイクロビーズを規制する外国と規制がない日本
日本では化粧品へのマイクロビーズ配合を禁止する法律や規制はありません。そのため当然ながら、配合した場合でも罰則などはありません。
一方、下記のように多くの国では、洗い流す化粧品へのマイクロビーズ配合を禁止しています。
アメリカ
カナダ
イギリス
スウェーデン
フランス
イタリア
中国
台湾
インド
韓国
タイ
ニュージーランド
アルゼンチン
ただし、これらの国でも規制されているのは洗い流す化粧品において。メイクアップやスキンケア製品への配合は、今後EUで規制されていくことが決定しているだけで、日本を含むほとんどの国で何も規制がされていません。
本当に地球にやさしい選択をするには、化粧品の全成分を自分で確認することが大切。この記事で紹介したようなマイクロビーズが入っていないか、しっかり確認したいですね。
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