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グリセリンがニキビの原因になるって本当?


グリセリンフリーの化粧品

グリセリンは肌刺激がない保湿成分。基礎化粧品にはなくてはならないと言っても過言ではないほど、定番の成分です。化粧水、乳液、クリーム、日焼け止めやクレンジングなど、ほとんどの化粧品に配合されています。

ところが最近、グリセリンフリーを謳った化粧品が増えてきました。「グリセリンはニキビの原因になる」というのがその理由。

その理由の根拠が気になったので、この記事で検証してみたいと思います。

そもそもグリセリンってなに?

グリセリンは、動物や植物の脂質に存在しています。

ヤシの実やパームから取れるグリセリン

無色で無臭。やや粘度のある液体で、水にもアルコールにも溶けます。脂質に存在しますが、グリセリン自体はオイリーな物質ではありません。
化粧品では、下記のような効果を期待して配合されています。

  • 肌の赤みを抑える

  • 抗炎症作用により肌刺激や敏感肌、痒みを抑える

  • 肌表面の蒸発を抑えることで肌の乾燥を防ぐ

  • 古くなった角質(タンパク質)をゆるやかに取り除く

  • 優れた保湿で肌バリアを強くする

  • 皮膚の治癒力を助ける

  • 硫酸塩系の界面活性剤の刺激を和らげる

グリセリンでアクネ菌が増加?

「グリセリンがニキビの原因になる」ということを客観的に証明する論文や生体による臨床調査の報告は、国内・海外いずれでも見つけられませんでした。

よって、おそらくこの噂の源は、2009年に日本国内の化粧品メーカーが独自で行なった試験結果の発表ではないかと思います。この試験では、グリセリンを含む複数の保湿剤でアクネ菌が増殖するかが検証されています。

結果だけを見ると、グリセリンはアクネ菌を増殖させるように見えます。が、この結果だけで「グリセリンがニキビの原因になる」と断言するには、根拠としては弱いと思います。
理由は大きく二つ。

根拠が弱い理由①:臨床試験ではない

この試験は試験管の中で行われています。

試験管試験と生体による臨床試験では結果が異なることも

でも、試験管実験の反応と、実際に肌に塗布した時の反応は同じではありません。ニキビができやすい人を対象に、実際にグリセリンの塗布でニキビが増えたのか臨床試験を行い、臨床データをとらない限り、人の肌の上で実際にどう反応するかはわかりません。

根拠が弱い理由②:アクネ菌だけが増殖するのかが不明

この試験では、試験管の中に試験対象の保湿剤とアクネ菌だけを入れた反応を数値化しています。

でも、人間の肌にはアクネ菌以外にも多くの常在菌が存在しています(ニキビができにくい人の肌にもアクネ菌は存在しています)。それらの常在菌がお互いにバランスをとって肌の健康を維持しているのです。

それなのに、アクネ菌だけの反応を見てグリセリンがニキビの原因だ!と結論づけることはできません。なぜなら、アクネ菌の増殖を防ぐ常在菌も同じように増殖したら、アクネ菌だけが過剰に増えることはないからです。

グリセリンはノンコメドジェニック

一般的にグリセリンは毛穴をふさがないノンコメドジェニックの成分だとされています。毛穴をふさがず、肌刺激がなく、肌を保湿できるため、多くのニキビケア製品でも配合されています。

また、ゆるやかな抗菌・抗ウィルス作用があるため、アメリカの食品医薬品局(FDA)は、傷口の治療薬への使用も認めています。

結論

国内外の報告調査や記事を見てみましたが、現時点ではグリセリンがニキビの原因になることを確証できる情報は見つけられませんでした。

グリセリンフリーの化粧品が、今後も増えてくるのかはわかりません。
でも、このブログを読んでくださった方にはどうか、一つの偏った情報だけを安易に信じてしまわず、客観的事実を広く知った上で自分が納得できる選択をしてほしいなと思います(グリセリンに限らず)。

おまけ:グリセリンの温感効果

グリセリンには保湿効果だけでなく、温感効果があります。高濃度で配合されている場合、肌に塗ったところが温かく感じるのです。

「ホットクレジングジェル」など聞いたことがありますか?
あれも、グリセリンが多めに配合されていることによる効果です。温かく感じるからと言って、肌に刺激が生まれるわけではありません。

「ホット〜」という商品名じゃなくても、高配合ならじんわり温かく感じることがあり、知らないと驚く人もいるかも知れないので、補足しておきました。

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*すべての方に肌刺激やアレルギーが起こらないわけではありません。