たったひとりのひとつまみ

ちいさな家の中に
回想から生まれた人格がさわさわと

足、奇異な柱底
腕、理解されることのない痛み
燃え殻の
たったひとりのひとつまみ

そのひとは
あまりの愛おしさに
白いお骨をぱくりと食べてしまった

悲しみというものが蘇ってきて
びっくりしてしまって
泣いていた、
きれいな光の壷の中で

ちいさな家の窓から
静かな魂のかたちをした灯りが、
窓々から
午後十時の集合住宅の漁り火が、
それぞれに
ぱちぱちと

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