靴底

小学校への歩幅の合わない百段の湿った階段をあの頃の二倍の歩数と三倍の息継ぎで喘ぎながら昇った体育館の裏の彫像の群れ四角く黒く傷付いた池と鳥を放すための小屋の脇を抜けて二つの紙切れにつんと尖らせるように削られた懐かしい鉛筆で名前を書いた帰りの今来たばかりの階段を大股で駆け降りたあの頃よりずっと硬い靴底のせいでぱたぱたと大きな音をたてた私は隙間を埋めるためにもっと硬い靴底の列車に乗ってプラスチックのアングルときらきら光るシートを買った包んでくれたビニールの円筒形の上で光る雨粒がたくさんの私を映した

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