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感極まるという体験は案外静かなものだった

静かにマスクの隙間から涙は頬をつたっていた。"泣く"という経験ははじめてかもしれない。

2月11日(木)東京山野ホールで開催された『ハラミ定食 DXおかわりツアー 〜全国のお米さんへ配達するぬ!〜』に行った話です。ネタバレも含まれるのでまだ参戦されていない方はご注意ください。

理由の分からない涙が流れた理由

コロナ禍ということもあり、応援は拍手のみ。静かに始まったコンサートだけど、ライブ感があまり好きではない私にとってはとてもありがたい約束だった。静かに聴きたい。というのもきゃっきゃと悲鳴があがるような場所は苦手だから。だから周囲を気にせず静かに聴くことに集中できるなと楽しみにしていました。

コンサートはLOVE PHANTOMで始まります。ご存じの通り前奏の星がキラキラと光っているような、流れ星のようなメロディ。これが聞きたいというお米さんも多かったのではないかと思う。(※ハラミちゃんのファンをお米さんと呼ぶ)照明も暗転と赤いスポットライトで曲のイメージにピッタリでかっこよかった。

やっと生演奏を聴けた。

気がつくとつっと1筋の涙がでていた。涙?私はこの涙の理由がよくわからない。感動して言葉を失う経験はある。どんなにうれしくても泣いた経験は記憶にある限りない気がする。

この涙はなんだろう?

Lemonが好きすぎてピアノを弾きたくて探した動画の中でたまたま見つけたのがハラミちゃんだった。すっかりピアノが過去のこととなっていて、なかなか再開するにできなかった私の背中を押してくれたのはハラミちゃんだった。

会えたんだという嬉しい気持ち
生演奏を聴けて嬉しいという気持ち
キラキラと綺麗なピアノの音

涙の理由はよくわからないけれど、たぶん『感極まる』という経験だったのかもしれない。

音に集中できる時間

先にも書いた通り歓声もなく静かな時間。それが逆にピアノの音を際立たせ聴くことに集中できたと思う。私がライブやコンサートが嫌いなのは、ゆっくり音楽を聞けないから。自分のペースで楽しみたい。でもライブやコンサートはその空間を楽しむもので、演者と一緒に作り上げる参加者みたいなもの。生演奏を音に集中して聞くことは望めない。だからなんだか苦手だった。クラシックのコンサートや年齢層が高めのコンサートはそうではないので楽しくかんじるものもあるけれど……。

ノリのよい曲では手拍子を、静かな時には静かに。メリハリもあったと思う。静かなのはどうか?声援を送れなくて残念だと考えていた人もいるかもしれないが、音を全身で堪能できるのでこのようなコンサートもとっても楽しかったよということを言いたい。

音楽の勉強を専門にしたわけでもない、最近再開したばかりの私が言うのも違うかもしれないが、素直に感じたことを書く。

1音1音がハッキリとして綺麗で、しっかりと芯があった。とくにそれを意識させるのは、ラブファントムの前奏のキラキラな部分。流れ星のようで1音1音がバラバラっと聞こえて綺麗だった。

弱い音もしっかりとその中で抑揚があって。左手の安定したところや、響き方とか、フォルテも、肩からいく感じとか。体全体使うから音の幅も広がるんだなぁとか。

ロマンスの神様やシェイクのリズムの取り方とかもそうだし、自分の苦手な所って結構意識しているからそう言う部分をみていたり。

指綺麗だなぁとか、どんなふうに動かしたらあの指の動きになるのかとか。

新しい音のイメージも生まれたので、私にとってプラスなことばかりだった。

それに、アレンジの仕方はハラミちゃんだよねとか、恐れ多くも一人心の中で語ってニヤニヤもした。

私もハラミちゃんのようにピアノ弾けたらいいなぁ。弾きたいなぁ。練習しようって子ども時代の憧れに近い感情が増えた。

落ち着いた色のドレスで綺麗だったハラミちゃん

私は夜定食だったので、右の青っぽいようなぐれーぽいような色のドレス。お姫様のようなヘアセットでとてもかわいかった。実際に見たハラミちゃんはスラっとしていて背が高そうな感じだった。細い腕で力強い演奏。イメージ通りパワフルだった。

YouTubeでみるとかなり体が動いていていて、音楽よりもそちらに目がいってしまうこともあると思う。実際の演奏を見ているとパフォーマンスは変わらないけれど、違和感もなく自然でして。自然というとちょっとニュアンスが違うんだけど、演奏に繋がる動きだからという意味なのだけど伝わるかなぁ。たぶん動画ではその場の空気感が伝わらないからなのかもしれない。

超絶年齢層が高かった

会場を見まわたすと50代前後の方がとてもおおかったように思う。60代くらいのかたもかなりいた。私くらいの年齢層やそれ以下はあまり見えなかった。思えば私くらいの年齢はみなさんお子さんがいるから、行くなら昼だと思う。なので夜は猶更年齢層が高くなったのかなと。

お子様からお年寄りまで年齢層が幅広いというのはハラミちゃんがよくはなしている。だけど見る限り結構年齢層が上の方ばかり。ちょっと広すぎて曲の好みが合わないなと思うところもあった。

ハラミちゃんの良さは、引き出しが沢山あるしその場で作れるからどのような好みのお客さんにも合わせることができる。よってファンの幅が広い。デメリットは、お客さんに合わせるとジャンルがジャングルみたいになるのでまとまりがなくなってしまう可能性もある。だからセットリストを考えたりするのも難しいかなぁと思う。ツアーのテーマの中でもチョイスの仕方は星の数ほどあるから、そういうマーケ的な側面ってかなり悩まれるのではないかな?と思った。好みのジャンルだったらよいけど、それほど好きな曲ではないときに冷静になる瞬間がある。素敵な曲なことは確かですが、やはり好みがある。

CD引っ提げているのでその中の曲で構成されるのは仕方ないとはいえ、あまり得意ではない曲があったり、リクエストも昭和の真ん中くらいの世代の曲ばかりで年末の歌謡曲の番組が頭によぎった。逆に昼は聞きたかった夜に駆けるの演奏があったようだし、客層でだいぶ変わるので次にコンサートに行くときは夜ではなく昼がいいなと思った。

たぶん逆もしかりで、最近の曲でもいいけれどやっぱり自分が昔よくきいていた曲を聞けたら嬉しいだろうし、聞きたいのだと思う。限られた時間のなかで全部を取り入れるのはむりだろうから、なんとなく曲の方向性だけでもきめてもらえたりするとはじめからそのつもりで参加できるなぁ……というのが感想。

そしてシングルベットで……

シングルベットを聞きながら、何故かデートのことを思い出してふける。悲しい曲だったと思うんだけど、これから先のキラキラしているだろう未来をみていた。希望に溢れていたよね。シングルベッド。

そしてここでもじわじわと涙が滲んだ気がした。

テレビでよく憧れの人に会って喜びのあまり奇声や悲鳴をあげる演出をよく目にする。冷めていると思われるかもしれないが、そういうシーンを白けてみていた。その意味がよく分からないし、驚いたからって声出るかなと。嬉しいから声出るかと。

やっぱりその感覚はわからない。よく見かけるような感動的なシーンにはならなかったと思う。ただ私は目の前のハラミちゃんを目に焼き付けたくて、生演奏を聴くことだけに集中して叫ぶなんてことはなかった。

ただ意図せずに流れた涙があっただけ。

ピアノの遊び方を知る

アンコールのGet Wildでは懐かしいwシンセサイザーのあのTETSUYA KOMUROの再現が。キーボードとピアノを両方弾き、シンセサイザーを使って一人バンドなるものをしていた。同じことをしろとなると難しいけれど、そういう遊び方はできるのかなと思う。

偶然にも同じような配置で私のピアノとステージピアノが並んでいるので、音を変えたり、ドラムやベース音を流しながらピアノ演奏をしてみたりしてみたい。

そんなこんなでコンサートで涙が流れたという経験は初めてだったと思う。理由はよくわからなくてコレだという決め手があるわけじゃない。だから推測するに、よっぽどハラミちゃんに会いたくて楽しみにしていて、ホッとしたんじゃないのかなぁと。そしてキラキラと光るような音の粒に感動したのだと思う。

感動ということばはなんだか安っぽくて使いたくないのだけど、ほかに当てはまる言葉がないので感動としておく。

最後にセットリストを乗せてみます。順番が多少前後しているのは大目に見てください。

セットリスト
・LOVE PHANTOM
・千本桜
・メドレー (紅蓮華→竈門炭治郎のうた→炎)
・ロマンスの神様
・木蘭の涙
・リクエスト(いい日旅立ち→世界に一つだけの花→バレンタインデーキス→フレンズ)
・前前前世
・シングルベッド
・Forever Love
・キューティーハニー
・SHAKE
・紅
・ファンファーレ
(アンコール)
・Get Wild
・ファイト!

最期までお読みいただきありがとうございました!