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娘をご機嫌にする魔法には時間を費やす

「どんな、魔法を使ったの?」

保育園に息子を送りに行って、戻ってきた夫が、娘がスクールに行ったことに驚いて、聞いてきた。

「タオル、ドライヤーで乾かしたら、行ったよ。あとはおしゃべりした。“娘ちゃんが不機嫌にギャーギャー!言ってると、私もうるさい!!って反撃しちゃいそうな気持ちになるんだけど、投げ飛ばすわけに行かないし、楽しく攻撃しようと思ったから、クッション投げつけたんだよ。”って。そしたら、“くすぐれば良かったじゃん!”って言われたんだけどさ、くすぐったら、娘ちゃんがガッツリ反撃して噛みついてきたりするでしょ。近づいたら危ないから、離れてできる、楽しい攻撃を考えたんだよ。”って話してた。」

「流石だねー。」

「なんでタオル洗ってないの??もうやだ!!今日は、行かない!!」

またか…。。。娘が「昨日使った、お着替えタオルが乾いていないから、オルタナティブスクールを休む」と騒ぎ出した。昨日使ったタオルが今朝、乾いているハズがない。先日まではお着替えタオルがなくても、バスタオルを持って行っていたのに、気分が変わったのか?毎日、お着替えタオルを持って行くオペレーションにいきなり仕様変更したらしい。うん、無理だな。私も夫もそんな突然の仕様変更に対応できるはずがない。

ここ数日、雨が続いていて、たまたま夜に洗濯&乾燥を回していたから、娘が何も言わなくてもお着替えタオルが翌日には乾いていたのだろう。偶然にも娘の希望を叶えていて、娘の中ではそれが「当たり前」になっていたようである。それが、昨日の夜は洗濯しなかったので、娘にとっての「当たり前」が崩れたのだ。機嫌が悪くなる娘の思考もわからんでもない。

でもさ、洗濯していないものは仕方ない。洗濯は終えることができるけど、乾燥には時間がかかる。とりあえず、お着替えタオルは2枚必要なのだな、と1枚ポチりながら、今できる代替案を探す。ワンピースの中で着替えるとか、バスタオルを持っていくとか、私のサーフポンチョを使うとか、いくつか提案してみたけれど、どれもお気に召さないらしい。「今日は休む」と言い出した。

我が家は、行きたくない日には無理に学校に行かなくてもいい、という方針。だから、本人の意思でスクールを休むことは全く問題ない。のだけど、「何かを用意できていなから」とか、「起きれなかったから」とか、その日の気分というか、自分の落ち度で行きたくない!と言い出した時は、抱えてでも連れていくことにしている。そこは自分でちゃんと責任を取って欲しいと感じているから。

今日の場合は後者である。ただ、先週は熱を出してほとんどスクールを休んでいたし、まだ本調子じゃないから機嫌が悪いのかな?と、様子を見ることにした。

のだけど!!

「行かない!!もうやだ!ぎゃー!!!ぎゃー!!こっち来るなー!!」

とてもうるさいのである。あ、無理。私、今日はこの不機嫌な娘と一日一緒に居れる気がしない。部屋をどんどん散らかされて、永遠に片付けない娘様と、賑やかなyoutubeの音聴きながら過ごすとか、今日の私には無理!!私の気分で申し訳ないのだけど笑、お互いの平和のために今日はスクールに行って欲しい。っていうか、やっぱり、うるさーい!!

寝不足だった私も、マジでキレちゃう5秒前だった。あー、でも、これ、「うるさーい!」って叫んだところで、あれだよね、2歳息子のペシペシ攻撃に、キレて本気で突き倒している8歳娘と同じことになってしまう。落ち着け私!!38歳母として、もう少し大人な対応を、、、でもうるさーい!!なんか、投げつけたい。。。

そんな時、目についたのが、巨大なクッションである。あー、もうこれ投げつけちゃえ!!柔らかく、ちょっとおもしろ可笑しく、可愛い彼女が「も〜!!」って語尾にハートマークつけながら、ポスポス彼氏にクッション投げつけるバカップルみたいに、私の衝動的な「うるさーい!!」って気持ちを娘に全部投げつけちゃえ♪

そんなことを、考えたり、考えなかったり、そんなに深く考えてなかったけど笑、巨大なクッションを母に投げつけられたら、びっくりして気分が変わるかな?と、ちょっとだけ期待して、クッションを投げつけたのだった。

私もよくやるから、知っているのだ。「もうやだ!!」って気持ちの9割は気分だということを。ちょっと、「マジで??」みたいなことが起きると、うっかり気分転換して、落ち着いたりするものなのだ。

だがしかし!!

今日は、多分、バレていた。そんな母の思惑が。娘というのは賢い生き物で、親がちょっとでも状況をコントロールしようという意識を持つと、見抜いて反発するんだよな。。。しばらく本気でクッションの投げ合いを繰り広げたのだけど、私も本気で投げつけちゃったせいか?、娘の泣き叫ぶ声は大きくなり、「行かない」という意地がより、強固なものになったのであった。

あ、これはもう仕方ないな。と、私は諦めた。娘と一日一緒に家で過ごす覚悟を決めて、「休んでもいいけど、スマフォとyoutubeは見ないで過ごすんだよ?」と約束したのだった。休みたい娘と、賑やかなyoutube音は、今日は聞きたくない…という私、お互いの妥協点である。「休んでもいい」と決まったら、娘は少し落ち着いたようだった。私も、娘にそれ以上、絡むのはやめて、自分の作業に移ったのである。ようやく平穏が訪れた。たぶん、この時、私が、娘をスクールへ行かせることを諦めたのが、良かったのだろう。

穏やかな時間が流れたあと、「スクールに休むって連絡するね。お休みで本当にいいんだよね?」と、娘に伝えると、「あと、8分待ってるの」と言い出した。8分…??あぁ、そうか。洗濯機が止まるまでの時間…!!洗濯機が止まったらタオルが乾くと思っているのか。残念ながら、終わるのは洗濯だけで乾燥までは数時間かかる。。。「乾くまでは数時間かかるよ?」と伝えると、寂しそうな顔をする娘。ふむ。ドライヤーでちょっと乾かしてみるか。と、ドライヤーでタオルを乾かし始めたら、娘が寄ってきた。

「これくらいで大丈夫。海に入ってる間、外に置いておけば乾くから。10時には着きます、って連絡しておいて。」

こうして期限の良くなった娘と、「さっきはごめんね」と謝り合って、お互いの気持ちをおしゃべり。冒頭の台詞を繰り広げたあと、娘は、ご機嫌な顔をしてスクールへ向かったのである。今日も今日とて、娘がスクールに行くだけで大騒ぎ…!!壮大な心理戦が繰り広げられる我が家なのであった。ちゃんちゃん。


3-5年後に家族で世界に飛び出します、たぶん◎