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クリスマスローズが好きな6つの理由~めざせグリーンフィンガーズ


みなさんはクリスマスローズをご存知でしょうか?

名前に「ローズ」が付いているのにバラではない、そしてちょっと内気でつい、構いたくなるような可愛らしい花です。

庭仕事をするようになって10数年。大好きなこの花の魅力をもっと知って欲しくて、noteにしたためることにしました。

クリスマスローズとは

クリスマスローズは、キンポウゲ科に分類されるヨーロッパから西アジアまで広範囲に自生する『クリスマスの頃に咲き始めるバラのような花』です。
私が栽培し始めた十数年前はさほど見かけませんでしたが、近年ではご近所のお庭に、玄関わきのちょっとしたスペースに、そして公園などの公共の場でも見かけるようになりました。

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(写真は開花3年目ほどの種から育てた株。右下の黒いものがサイズ比較のための靴の先。特に一重咲き(シングル)の臙脂系は路地植えだとすくすく育つ)

地域や株の性質に拠るかとは思いますが、南関東の我が家の庭では、2月中旬ぐらいから咲き始めます。「クリスマスではないではないか」と思われるかもしれませんが、一番クリスマス近くに開花するのはニゲルという原種に近い白い花でした(去年、枯らせてしまいましたが)。

クリスマスローズには20種類ほどの原種がありますが、原生地は広く一般に標高が高い林間や岩場にあります。日本では蒸し暑い夏を過ごすことになるので、開花が全体的に遅いのかもしれません。

それでも、毎年沢山の花をつけてくれるクリスマスローズは、まさに今、見頃を迎えています。

我が家のクリスマスローズ

我が家のクリスマスローズの起源は、母が偶然、生協のカタログで見かけ、申し込んだ2種類の開花前の苗でした。咲いてみるとどちらも落ち着いた臙脂(えんじ)色で、今思うとどのような写真だったのか・・・もしかしたら片方は白い花の写真だったのかもしれません。

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(一番古い株。濃い臙脂色で花脈がはっきりとしています。萼片(がくへん)もとんがり気味。夏の暑さに弱いらしく、猛暑後は弱弱しくなります)

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(こちらはもう一つの最初の株。花も葉も、若干青みが強く、葉の裏が白っぽい)

十数年前に家を改築することになり、数本の果樹を除いて一度庭がまっさらになりました。それを機会に、私のグリーンフィンガーズ(Green Finger‘s「園芸の才がある人」の意)道がスタートしたのです。

植木鉢で避難させていたクリスマスローズを、庭に残していた果樹(梅・アンズ)の下に植え、改めてまじまじと花をみつめたのですが、その独特の雰囲気と「1回植えれば植えっぱなし可能」な多年草であることで一気に惹かれて、以降、私の庭造りの中心的存在になりました。

なぜこんなに好きなのか。クリスマスローズの魅力を6つ紹介します。

クリスマスローズの魅力1:うつむいたような控えめな花

クリスマスローズにはいくつもの種類が存在します。凡そのカタチは、大地に広く葉を広げ、細く長く首を伸ばしたような茎の先に、うつむいているように1つの花が付きます。

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(細かいスポット(花弁の点々)が美しい、最近のお気に入り。シングルで葉っぱはとんがり気味です)

正確に言えば、花びらに見えている大きなものが萼片で、もともと花であったものは、退化してしまい雌しべの周りにネクタリー(蜜腺)として残っています。以降は、便宜上「萼片」を「花」と呼びます。

どの花も首をもたげるように下を向いているものですから、つい、首をクイッっと指で持ち上げて、中を覗き見したくなってしまうのです。

クリスマスローズの魅力2:花の少ない時期に長く楽しむ

クリスマスローズはまず、さきほどのニゲルと呼ばれる、比較的首が短くて花が若干上向きの原種に近いものから開花し、3月頃に見頃を迎え、遅いものだと4月頭まで花を楽しむことができます。

もちろんその年の気候にもよりますが、幾つかの種類が植わっていると2カ月ほど花を楽しむことができるのです。

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(3株目に購入したのは、シンプルなシングルの白でした)

最近は暑すぎる夏のせいで、株が痛んでダメにしてしまう株も少なくなく、開花も遅くなりましたが、それでも庭の花が少ない時期に咲き始めてくれる、大変嬉しい花です。その後は春先の黄色いミニ水仙や紫色のムスカリ、散った梅の花と一緒に楽しむことができる、春の使者でもあります。

個人的には、雪に埋もれて首だけをヒョコッと出している姿も好きなのですが・・・残ながらここ数年は見ることが出来ていません。

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(数年前の雪の日のクリスマスローズ。少しだけ花が見えていたので、雪をそっとどけてあげました。この色あいはお気に入りでしたが、枯らしてしまいました・・・)

クリスマスローズの魅力3:多種多様なデザイン

クリスマスローズの花の色・カタチ・デザインには驚くほど多くの種類が存在します。

珍しい姿の開花しているクリスマスローズは結構なお値段をするので、我が家の庭にはありませんが、それでも一つ一つをよく見ていくと、2つとして同じ株が無い事に気づきます。

手を添えて花の向きを上に向けると、目に入るのは花弁のデザインです。斑点模様であったり、花脈がしっかり見えていたり。花(萼片)の中にさらに花があったり、蜜腺が花弁のようであったり(セミダブル)、花が八重(ダブル)だったり・・・そして花の色としては珍しい黒に近いものもあります。

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(数年前にチャレンジした、ダブル×ピコティー(縁取り模様)という、あまり見かけない花…でしたが、増やせませんでした)

以前は見かけると購入し、色々とチャレンジしたものですが、豪華なダブルや魅惑の黒はシンプルな交配種のシングルに比べて育成が難しく、自分も何株も枯らしてしまっているので、最近では可哀そうで買わなくなってしまいました。

それでも「いつか、また」と考えてしまう憧れの存在です。

クリスマスローズの魅力4:思った通りに育たない

ここまで何度も出てきているように、自分も開花株を購入しては、枯らしてしまうことも少なくありません。自分で種から育てたりもしますが、実はクリスマスローズは開花するのに3年ほど有します。

そのため、思った通りの花が欲しければ、4年近く育ててもらった「開花株」を購入するしかありません。花が珍しい上にしっかりとした株は、5,000円ぐらいしてしまいます。

逆に小さな花芽の付いていない苗(1~3年以内のもの)は1,000円しないものも多くあります。

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(数日前に、足柄道の駅で見つけた1,000円しないダブル×スポットの開花株。どうか立派に成長しますように)

開花していない株を気長さに育てるのも、一つの楽しみですが、残念なことに開花前の株は花が咲く保証がありません。実際自分も買って植えてはみたものの、3年経っても花が咲かなかったことが過去にはありました。

クリスマスローズの魅力5:しかし意外に育てやすい

開花するのに時間がかかるだの、花が結局咲かなかっただの、枯らした・・・だの、育てるのが大変な印象を与えてしまったかもしれませんが、実はクリスマスローズはかなり育てやすい草花です。

まず、植えっぱなしOKの多年草であることが大きいです。掘り起こさないといけない球根と異なり、路地植えなら、次の開花時期までに多少のお世話をすれば、あとは放置でも翌年しっかり花をつけてくれるのです。

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(10月中旬のクリスマスローズ。株もとに日が当たるよう、古い葉を切り取る作業を行います)

植木鉢より路地植えが育ちやすいのは、公園などで見かけることが多いことで想像が容易いですが、鉢植えでも決まったお世話でどんどん花芽を増やしてクリスマスローズを楽しんでいる愛好家は多くいらっしゃいます。

クリスマスローズの鉢植えの一番の悩みは根腐れと暑い夏の日差しと水切れです。路地植えの場合は場所が良ければそのどちらも問題ないのですが、日当たりが過ぎる場合は、むしろ日当たりが悪い場所を選択した方が正解の気がします。

そう、クリスマスローズは、花が植えにくいちょっと影になった庭(シェーードガーデン)で育ってくれる、超お助かり種なのです。まずは、比較的安価なシングルのスタンダードな種類を選んで、落葉樹の下や反日蔭に植えてみてください。

鉢植えでは、水はけのよい土にして、水のやりすぎや乾燥に注意すれば育ちます。

クリスマスローズの魅力6:そして交配が楽しめる

クリスマスローズの最大の楽しみは、種から育てることができることと、交配ができることです。

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(種をつけたクリスマスローズ。この状態で暫くすると乾燥して種が取り出せます。この種の袋が小さい種類ほど、増やしにくいのです)

クリスマスローズは路地で放置していても、種が落ち、小さな芽が出てくることがあります。そしてこの芽から開く次の世代は、母株とはまったく異なる表情の花が咲くことが多くあります。

実はクリスマスローズは、近くに別の色・カタチのクリスマスローズがある場合、自然の力で交配してしまうらしく、母株とまったく同じ花を種から育てることが非常に難しいらしいのです。

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(最初の株と、3番目の白い株を受粉させ、種から育てた株。色が薄くなりつつも花脈がしっかりとあるところが、親の遺伝を感じさせます)

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(こちらも意図的に受粉して、種から育てた株。どの株の掛け合わせかは忘れてしまったのですが、花びらの色合いがほぼ交互になっているのが面白いです)

飽くなきクリスマスローズへの探求心

このように、特徴豊かなクリスマスローズですので、育てる環境や自身の性格に合わせて、どのように楽しむかも人それぞれです。そこが大変ユニークで面白いのです。

放置もよし、交配を楽しむもよし、珍しい花を見つけたら株増しを目指すもよし。自分も、家の北側に1株だけ白×シングルのクリスマスローズを植え、その1株だけは、何の手入れもせず「どう育つのか」を観察して楽しんでいます。

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(蜜腺が大きく残った、セミダブルの花。これも交配で生まれました)

そう、「本当に放置で育つのか」を試しているのです。今のところ・・・もう10年ぐらい経っているでしょうか。どのクリスマスローズよりも太くてしっかりとした茎をもつ、野性味あふれる株に育っています。

私の腕前ではまだまだ、グリーンフィンガーズとは言えませんが、庭に出て花を愛でるのはストレスにも大変良いと実感しています。

庭には、株が大きくなりすぎたクリスマスローズがいくつかあるので、そろそろ株分けして、周囲に配ってクリスマスローズの輪を広げていきたい・・・とも思っています。

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