息子をかわいいと思えなかった私は、お母さんに眠れる時間を届けたい
1時間……いや、30分、なんなら15分でもいい。
だから、私に眠れる時間をください。
誰にも邪魔されず、なんの心配もせず、おっぱいも痛くならない睡眠時間を。
昔から、私はぐうたらと寝るのが好きな人間であった。ストレス解消法は睡眠だった。どんなに嫌なことがあっても、寝たらケロリと元気になった。
ところが産後、私にとっての生命線ともいうべき睡眠が、赤ちゃんという愛すべき恐ろしい生物によって、奪われた。
大事件である。
もちろん、妊娠中から眠りは浅くなったが、それでも、横になる自由が産休中まではあった。
が、産後、一人では生きていけない、ちょっと目を離したら死んでるかもしれない生物を前に、私は、全然寝れなくなった。
私の場合、夫が三カ月育休をとってくれたので、まだましな方だったと思う。(それでも、夜間の泣き声に起きない夫にイライラするという別の問題を引き起こしたけど)
夫が仕事に復帰してからは、本格的に寝不足に拍車がかかった。
眠い、のに、寝れない。容赦なく、泣き声に起こされる。夫は、一人別室で、悠々と寝ている。仕方ない。夫は、日中、仕事に行っているから。さらに夜間も助けて欲しいとは言えなかった。
でも、自分自身も限界だった。その葛藤で、常にイライラしていた。夫に頼ることもできない、自分ががんばることもしんどい。でも、息子をほおっておくわけにもいかない。どんどん、頭が回らなくなった。そのうち、愛しいから心配で寝れないのに、寝てくれない息子を恨めしく思うようになった。そして、息子を愛せない自分は、母親失格だと落ち込んだ。
「もう、早く寝てや! 私は眠いねん!」と無駄に、息子に抗議したこともある。
日中なのに、カーテンを閉め切った真っ暗な部屋で、きょとんとしている息子を前に、ボロボロ涙がこぼれてきたとき、「あ、これあかんやつ」と悟った。
その時、初めて「人に頼る申し訳なさ、育休中なのに子を他の人に預ける罪悪感」が吹っ飛んで、息子をファミサポさんに預けるという選択肢を、実際の行動に移すことができた。
効果は抜群だった。
初日こそ、預けた際に泣く息子に、罪悪感を覚えて、預けた後に、私も泣いていたが、ぽつんとできた空白の時間に、ようやく息をすることを思い出したような気分だった。ずっとずっと、一人、呼吸をすることも忘れてもがき苦しんでいたような気がした。新しい空気が入ってきて、身体中をめぐり、そして、重苦しい気持ちが、外に吐き出されていく。
息子を預かってくださったファミサポさんが、本当に素敵な方で、迎えに行ったとき、息子はとてもニコニコしていた。活動の記録を見ても、楽しく過ごさせていたいただいたのがわかった。そして、家に帰ると、息子はびっくりするくらい、自然とよく寝た。その横で、私も久しぶりによく寝た。
不思議と、寝ると頭はクリアになり、感情の波は落ち着いて、ずいぶん冷静になっていた。たぶん、そこから私の辛い産後は変わった。
私は自身の産後を通じて、実感した。
睡眠、大事、と。
お母さん自身が満たされていなければ、赤ちゃんを育てるという大変な仕事をこなしきることはできない。
だから、私は、産後のお母さんに眠れる時間を届けたい。
安心して預けられて、でも、何かあればすぐに駆け付けられる(望めば授乳もすぐにできる)距離で、眠れる環境。
あたたかい飲み物を飲む間、食事をする間、誰かが赤ちゃんを抱っこしてくれている場所。
赤ちゃんとお母さんのための「おやすみカフェ」を作りたい。
(たまに赤ちゃんとお父さんのためのカフェにもしたい)
その想いで、ボーダレスアカデミーに参加して、事業の収益化の難しさに発狂して卒業ピッチでは当初とは違う事業内容を発表したけれど、とても素敵な出会いがあって、場所を提供いただけて、なんとかなるかも、というところまできた。(この素敵な出会いは、ぜひ、また、別の記事で紹介したい)
あとは、安心して0歳児さんを預けていただけるように、産後ドゥーラの養成講座に通い、認定試験に合格して、先日、無事に修了式を終えた。
産後ドゥーラは民間資格だが、産後のお母さんを支えることを主眼としているので、新生児さんからお世話ができるように、助産師さん等から色々と教えていただけるのが魅力的だった。認定を受けると、ドゥーラ用の保険に入ることもできるので、その点も、お母さんたちの安心感になるのではないかと思う。
ちなみに、カフェと名前はつけているが、実際には、カフェみたいに気軽に利用できて、安心してくつろげる場所、みたいなイメージをして欲しい。
私はもちろん、助産師さんではないので、専門的な知識もないから、助言したりはできないけれど、お母さんが、ゆっくり休んで、明日から頑張るためのお手伝いができたらいいなと思う。
(おいしいお料理も提供できたらいいけれど、そこは絶賛練習中だ)
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