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つくえもいすもいらない

ここはとある国。

この国の小学校は校舎も無いし先生もいません。

世界中どこでも教室にもなるし誰もが先生になるのです。

さてさて、今日はどんな一日になるのでしょう。のぞいてみるとしましょう。

1時間目はまだみんな眠たいから芝生に寝転びます。自然の風のにおい、大地の力強さ、太陽の暖かい日差しを体いっぱいに吸い込んでいます。今日をどのように過ごすか話し合っているようですね。

2時間目は算数。今日は次の時間にバーベキューをすることにしました。なので材料を買いに行きます。予算とみんなの食べたいものを話し合って決めました。お肉、野菜、お茶…たくさん買うものがあります。忘れたり計算を間違えないようにしないと…森永さんがリーダーになって計算してくれています。森永さんは10歳だけどすごく計算が得意でしっかりしているのです。

3時間目と4時間目は体育!今日の体育の先生は西村くんです。西村くんはとってもアウトドアが好きなのです。西村くんは11歳だけど、この小学校には「学年」というものもありません。みんなおんなじなのです。

みんなが街の川辺に集まっています。

「火をよく燃やすには木の組み方を工夫するといいよ!」「川は急に深くなるから気をつけて!」

西村くんはみんなにアドバイスしているみたいです。バーベキューをしながら生き抜く力を身につけているのです。

給食の時間。みんなで焼いたお肉やら野菜やら…たーくさんの食べ物をみんなでおいしく食べます。青空の下で食べるごはんは特別おいしいのです。

5時間目は道徳です。道徳の先生は街の人たち、みんなです。

ベビーカーの赤ちゃんと一緒にいるお母さんがバスになかなか乗れなくて困っています。お母さんに赤ちゃんを抱っこしてもらい、みんなで畳んだベビーカーをバスに乗せました。そのお母さんはみんなに「ありがとう」と言いました。

駅までの道のりが分からなくて迷っている旅行の人がいるようです。みんなで駅まで一緒に行って案内しました。その旅行の人はみんなに「ありがとう」と言いました。

今日の学校はこれで終わりです。

こんな1日もあれば、また別の日はお裁縫が得意な越野くんが服の作り方を教えてくれる日もあるし、IT関係が得意な落合さんがプログラミングを教えてくれてみんなで作ったゲームを楽しんだこともありました。

みんな、それぞれ得意なことを他のみんなに教えます。教えることで自分ももっとくわしくなれるし、もっと知りたいともっともっと好きになれるのです。みんな好きなことや得意なことを見つけて、そこを伸ばして仕事にしたり、人を助けたり、楽しい趣味の時間を過ごしたりしていきます。

学校の後はみんなで一緒にそれぞれのおうちに帰ります。

みんながみんなに言いました。

「ありがとう。またね。」

「また明日」ではないのです。この学校は行きたい時に行き、今日は家でお絵かきしたい気分の時は行かなくてもいいし、家族と過ごしたい日は行かなくてもいいのです。もちろん毎日行ってもいいのです。自分で考えて決めるのです。

「ありがとう。またね。」




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